GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第28回】

1.脳の省エネ機能
脳は基本的にさぼるように機能されている。それは、脳が体重の2%しかないのに、脳が全エネルギーの20%以上消費するためで、飢餓に対応するために必要な機能であったといえる。この省エネ機能は、得意の分野を優先しようとする傾向がある。ある技能を習得し、定例的な作業を行う上でも働く。つまり、ある技術を習得し、定例的な作業については、脳は余計な思考をせず、条件反射的に体が反応するように指示され、脳は、最小限の活動しかしないことになる。これは、決して悪いことではなく、例えば、スポーツにおいて、練習を積み重ねることにより、その反応が早くなり、俊敏な行動が可能となる。これは、「慣れ」とか「飽き」と言われるもので、脳に同じ刺激が繰り返されることにより、その刺激に対して馴化が起きる。
定例的な作業において、脳は最小限度の活動で、その作業を行うことができるわけである。いわゆる、体が覚えている反応である。瞬時の対応が求められる行為には大変有効なものである。しかし、いつもの作業であるルーチンワークでは、通常の流れで処理してしまい、本来チェックすべきことが漏れてしまうことになる。それが慣れの問題点である。ベテランが何でこんなエラーをするのかと問題になることがある。慣れによる見逃しの原因と言える。ルーチンの作業では、慣れ親しんだ行為であり、リスクを感じないことも多い。問題点を見出すためには、客観的な視点も必要となる。作業の進め方に新人等が疑問を投げかけても、今まで、この方法で問題ないと片付けずに、客観的な視点から検討することも必要である。これもリスクマネジメントとして重要な点である。
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