医療機器リスクマネジメント-国際規格の要求事項と実践対応-【第3回】

2019/10/18 医療機器

中谷 敬

リスクマネジメントの実施プロセス
リスクマネジメントは、安全な医療機器を開発、設計、生産、販売するために、個別の製品に対して実施する。リスクマネジメントは、製品企画の段階から始まり、そのライフサイクルを通じて実施されるプロセスである。

医療機器の設計生産体制について規定した品質マネジメント国際規格ISO 13485では、製品実現の中でISO 14971に基づくリスクマネジメント実施を要求している。医療機器を開発するメーカは、品質マネジメント体制の中にリスクマネジメントを実施する体制を構築しなくてはならない。

品質マネジメント規格が規定する開発設計のフロー(ISO 13485に基づく)とリスクマネジメントプロセス(ISO 13485に基づく)の対応を図1に示す。
 

図3-1 製品の開発プロセスとリスクマネジメントプロセス


リスクマネジメントの中核をなす作業は、リスクアセスメント(リスク分析とリスク評価)とリスクコントロールである。リスクアセスメントによって、対象となる医療機器のリスク受容の可否を判断する。受容できない残留リスクがあると判断される場合には、リスクコントロールによりリスク低減を図る。しかし、いきなりリスクアセスメントを始めるのではなく、図に示したフローに従って、製品企画立案に併行してリスクマネジメント計画を立案した上で、リスクマネジメントプロセスを開始する。

リスクマネジメントの実施体制
リスクマネジメントは、個別の医療機器に対して実施するが、その実施体制は経営の責任で構築する必要がある。具体的には、リスクマネジメントに関する社内規定を作成し、品質管理担当役員が承認しておくなどの手続きをすることになる。
 

 

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執筆者について

中谷 敬

経歴 1974年、日本光電工業入社。医用センサ、生体情報計測機器の開発・設計に従事。
在職中、IEC/SC62D、ISO/TC121/SC3の日本国内委員会幹事として、医療機器国際規格の制定・改訂作業に参加。国際エキスパートとして日本コメントの作成・まとめを行い、国際会議に参加しての日本意見の反映に尽力した。
定年退職後は、コンサルタントとして独立。各種セミナー講師の他、首都圏の大学で客員教授、非常勤講師として医療機器技術、医療安全、国際規格について講義している。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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