医薬品品質システムの参考になるISO 9001の改訂動向及び改訂の概要(1)

1.はじめに
 ISOの代表的なマネジメント規格であるISO9001:2008(品質マネジメントシステム)は2015年秋ごろ7年ぶりに改訂され、2015年版としてISO/IS9001版発行される見込みである。
 規格原案ISO/DIS9001(注)が2014.5に発行、現在はISO/FDIS9001版を検討中である。
 ISO9001は、規格に従ってルールを定め、定めたルールを実行する。実行した結果を評価して必要な改善を行うといった基本事項を定めたものである。
 この規格は1987年にはじめて制定、1994年の改訂を経て、2000年に全面的に見直し品質マネジメントシステムとして制定され2008年には小幅な改訂を経て、現在に至っている。
 今回の改訂は他のマネジメントシステムとの整合、QMSと企業(又は組織)のマネジメントシステムとの統合という目的のもとに改正される。
 今回の改訂は、ISO9001:2008の小幅の改訂と異なり全面改訂される。
 主要な変更点は
 ★ QMSを経営戦略・事業プロセスに統合
 ★ QMSの前提条件の明確化から計画及び運用に展開
 ★ リスク及び機会を決定
 ★ サプライヤー管理が外部提供のすべての外部提供に拡大
 ★ 変更管理の重視
 ★ プロセスアプローチの考え方を規格に反映
 ★ 組織の知識管理
などである。
 本稿では、ISO 9001の改訂動向及び改訂の概要を紹介する。医薬品品質システムの参考にして頂ければ幸いである。なお、執筆時点の2015年5月10日現在はDISのステージであること、また筆者が理解している範囲であり、不行き届き等がありましても、容赦頂きたい。
 なお、現状の正確な理解については、下記の注1)①の文献に照らして確認頂きたい。
注1)
① ISO/DIS 9001解説1(2014.6.5掲載)は、日本規格協会JSA Webストアーか
 ら購入手可能:規格番号 ISO/DIS 9001:2014
  標題 Quality management systems -- Requirements
  標題仮訳 品質マネジメントシステム-要求事項
② 国際規格制定の流れ(今後のスケジュール)
  国際規格原案(DIS)
  ⇒最終国際規格案(FDIS)/予定2015.7
  ⇒国際規格(IS)/予定2015.9
  ⇒JIS化/予定2016.3


2.ICH-Q10とISO9001との関連性(概説)
 製品の品質保証のためにこれまで運用されてきたGMPは、マネジメントシステムISO90012008年と融合、日米EU医薬品規制調和会議でICH-Q10(医薬品品質システム)として合意された
 合意されたICH-Q10は、マネジメントシステムの確立・運用を通して、製品・プロセス・システムの継続的改善を目的としている。
 我が国では、厚生労働省から医薬品品質システムが事務連絡として通知された。ICH-Q10は、発出から約5年を経過した。我が国では、PIC/S 加盟申請~加盟の動向とともに、医薬品品質システムの意義と必要性が徐々に浸透し、医薬品企業では、各社の実情に見合った医薬品品質システムを確立し、運営の途上にある。
 医薬品品質システムは、ISO9001を基礎とし、製造プロセスの稼働性能と製品品質の継続的改善を促進する有効な評価方法として品質マネジメント(ICH Q10)の手法を活用することによって、GMPを補完するマネジメントシステムである。ICH- Q10の主たる要求事項は、ISO9001の要求事項とほぼ同一の内容となっている。
 ISO9001で規定されているマネジメントシステムの心臓部は、プロセスを基礎とした品質マネジメントシステムであり、顧客、法令・規則並びに自社設定の要求事項を満足した製品・サービスを提供することにより、顧客満足度を向上させ、かつ継続的に改善することである。この活動を着実に実施するために、「経営者の責任(品質方針展開、顧客重視、マネジメントレビュー等)」「資源の運用管理」「プロセスの監視・測定(モニタリング)及びデータ分析」、「是正・予防〈CAPA〉」が求められる。この一連のサイクルを確立することが、すなわち品質マネジメントシステムの確立である。これらの要求事項にもとづく活動を通して、「医薬品ライフサイクルにわたる継続的改善」に結びつけることを意図している。
 ISO9001に対応する要求されていなかったリスクマネジメントとKnowledge Management(以下KM)は、ICH- Q10で初めて取り入れられた概念である。
ISO9001は法的要件ではなく、汎用分野(但し、医薬品も対象製品の一つである)における製品・サービスの品質保証及び顧客満足の向上に向けた継続的改善を目標とした任意活動であり、許認可に置かれた医薬品とは根本的な相違点はある。
 

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