ラボにおけるERESとCSV【第52回】
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
■GG社 2017/11/2 483
施設:製剤工場
Observation 1
• OOS(Out of Specification:規格外)が発生したが、ピペット操作によるラボ
エラーが原因であると分析者との会話により判断した。1ヶ月後にサンプル調製
しなおし、規格内のテスト結果を得た。
• OOSが発生したが、HPLCの注入エラーが原因で「あろう」と判断した。1ヶ月
後にサンプル調製しなおし、規格内のテスト結果を得た。
棄却したのは妥当ではない。
• OOSが発生したが、標準液の調製不良が原因で「あろう」と判断した。標準液
の調製をやりなおしたうえで、サンプル調製をやりなおし、規格内のテスト結
果を得た。
★解説:
OOSが発生した場合の処理が不適切であると、不都合事象の隠蔽や良いとこ取り操作を疑われデータインテグリティ指摘を受けてしまう。FDAは「Guidance for Industry, Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production」においてOOS処理のガイダンスを示している。このガイダンスにはその根拠法令(連邦食品・医薬品・化粧品法、cGMP)も記載されている。またFDAのOOSガイダンスを補足すべくMHRA(英国医薬品庁)が発出したOOS/OOTガイダンス「Out of Specification & Out of Trend Investigations」は、フローチャートにより、具体的な処理ステップを表示しており判りやすい。これらのガイダンスを参照し、適切なOOS処理手順を策定するとよい。FDAガイダンスの概要を図25に示す。また、ファームテクジャパン2018年2月号においてこのFDAガイダンスを紹介したので参照されたい。
Observation 2
分析者が異常を認識したので、テストシーケンスを中断し再測定していた。手順書に従ったOOS処理やラボエラー処理がなされていない。
★解説:
1)分析者が異常を認識したのでテストシーケンスを中断している。中断したとい
うことは、異常を認識したテストのデータを保存していないということである。
つまり、不都合を隠蔽して良いとこ取りをしたと判断され指摘されたと考えら
れる。
同様の指摘を以下に紹介する。
結果を保存することなく、分析をおこなったり結果をプレビューすること
ができる
◆ 2017/4/28 インド
分析者は
✔ 試し自動分析を保存していない
2)OOS処理やラボエラー処理を適切に実施しないと、良いとこ取りをしていると
指摘されかねない。従ってこれらの適切な処理方法をSOPに規定しておく必要が
ある。SOPの策定にあたっては下記ガイダンスを参照するとよい。
https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm070287.pdf
✔ MHRA「Out of Specification & Out of Trend Investigations」
https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2018/03/02/out-of-specification-guidance/
Observation 3
1. HPLC、UV-VISによるテストにおいて;
り正確であることを保証するよう、全ての電子記録をレビューするデー
タインテグリティ対応規定がない。
QCは電子生データをレビューしていない。
② 生データを抜き取りレビューしているとのことであったが、
レビュー工程は手順化されていない。
職員に与えている
生データアクセスができる。
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