【最近のウォーニングレター】ASTROM通信<117号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2017.03.01】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

花粉症の身にはつらいシーズンとなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、以前のASTROM通信113号で取り上げた後、米国食品医薬品局(FDA)の製品品質オフィスより、日本の製薬会社宛も含め、多数のウォーニングレター(Warning Letter)が発行されています。
そこで、今回と次回のASTROM通信では、それらのウォーニングレターの内容を確認していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

 
 
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ウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です。
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■WL:320-17-10
 ブラジルの製造所の最終医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
 2016/12/8付ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられていま
 す。
1.貴社は、薬の製造、加工、包装、保管において、適切な設計、適正なサイズ、意図した使用・洗浄と保守管理のための作業が実施しやすいように適切に配置された装置の使用を怠った。
ISO5の無菌充填区域におけるXXとXXの無菌充填ラインは、一方向気流でない。充填区域のXXの気流は、無菌充填XXへの入場を含む作業者の介入中に無菌注射製剤を保護するのに十分なほど堅固でない。
煙の調査において、充填ラインの設計は、開いたバイアルの上下の乱気流をもたらすと示した。
XXの閉栓は著しく気流を乱す。無菌充填区域におけるこの乱れた気流は、重大な汚染の危険をもたらす。
2.無菌とされる薬の微生物汚染を防ぐために設計された、全ての無菌及び滅菌工程のバリデーションを含む、適切な文書化された手順を制定し、それに従うことを怠った。
貴社の煙の調査は、全ての無菌操作に関し、一方向気流を維持しているという貴社の主張を立証していない。気流を正確に示すのに煙の量が少なすぎることがある。貴社は一方向気流への作業者の介入の影響を示すために煙を注入していなかった。これらの煙の調査は貴社のラインが微生物汚染を防ぐため、または、製品の無菌性の高度の保証を提供するために設計されたことを示していない。
貴社の回答において、貴社は追加の煙の調査を計画していると述べた。貴社の新しい煙の調査は動的な作業状態での一方向気流を明確に証明すべきである。
煙の調査で、活動が一方向気流を乱すかどうかを正確に測定するために、実際の作業中の手動の介入をシミュレーションすることが不可欠である。
3.貴社は無菌処理エリア内の環境状態をモニタリングするための適切なシステムを制定することを怠った。
貴社は環境モニタリングを適切に文書化することを怠った。例えば、貴社の記録は、XXのロットXXの製造中に作られていなかった。環境モニタリングのサンプルを、環境モニタリング手順で指定した全ての場所から収集したが、記録は、収集した結果及びサンプルと照合していなかった。
また、貴社の手順は“ゼロではない結果”がある場合にのみ環境モニタリングデータ記録するようにしていた。貴社の環境モニタリング記録はゼロの時に文書化されていない。https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm534320.htm
 
■WL:320-17-11
 スペインの製造所の最終医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
 2016/12/15付ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられていま
 す。
1.貴社は、製品の各バッチについて、出荷前に、有効成分の同一性や力価を含む、製品の規格書への十分な適合性について試験室が適切な判断を行うことを怠った。
査察者は、貴社が出荷前にOTC医薬品の同一性や力価のテストをしなかったことを発見した。
2013年の査察でもFDAは同様の不備をみつけていて、貴社は改善すると説明したが、2016年1月の査察で、貴社はまだ出荷前の同一性と力価の試験の実施を怠っていた。
2.製品が適切な安定試験によって裏付けされた使用期限を有することを保証することを怠った。
2.製品が適切な安定試験によって裏付けされた使用期限を有することを保証することを怠った。
査察官は、貴社がどの製品についても安定性試験の実施を怠っていることを発見した。貴社は、貴社の薬の使用期限を裏付けるテストデータを持っていなかった。安定性プログラムの不履行と、使用期限の裏付けデータの不作成は、貴社の製品の品質問題の発見と反応をする貴社の能力を制限した。
例えば、貴社は、製品の分離に関する消費者の苦情に応えて2015年にXXの複数ロットの回収を実施した。XXのようなクリームの分離は製品がラベルに表示された保存期間を通して安定していないことのサインである。貴社は安定性プログラムの一環として製品を適切に観察していなかったので、製品が既に消費者の手に渡るまで、製品の分離の問題に気付かなかった。
2013年の査察でもFDAは同様の不備をみつけていて、貴社は安定性プログラムの不足を改善すると説明したが、最近の査察でもこの是正処置が実施されていなかった。
3.貴社は、適切な組織単位により起草され品質管理部門によりレビュ・承認された変更を含む試験室の管理メカニズムに従わなかった。
貴社試験室は、微生物試験、物理化学試験、官能試験の結果を記録したログシートの適切な管理ができていない。
https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm534309.htm

■WL:320-17-12
 カナダの製造所の最終医薬品製造における重大なCGMP違反に関する
 2016/12/15付ウォーニングレターにおいて、下記の指摘事項があげられています。
1.バッチがすでに配送されたかに関わらず、バッチやその成分の説明のつかない規格の相違や不具合を十分に調査することを怠った。
また、調査を、不具合や相違が関係あるかもしれない他のバッチに広げることを怠った。
2.貴社は、品質管理部門に適用可能な文書化された責任や手順を規定することを怠った。
3.汚染を防ぐため適正な間隔で装置が洗浄されることを保証するのを怠り、文書化された洗浄手順を制定するのを怠った。
4.製品の、規格に対する潜在的な不具合を含む苦情に関する品質管理部門のレビュや、21CFR211.192に従った調査の必要性に関する判断の提供を含む、製品に関する全ての文書または口頭の苦情の取扱を述べた適正な文書化された手順の制定を怠った。
5.製造、及び、製造した製品がうたっている同一性、力価、品質、純度を持つ、または持つように設計された工程管理に関する適正な文書化された手順の制定を怠った。
例えば、バッチの均一性、完全性、薬の品質の一貫性を保証するために、制定されたパラメータ内で操作できることを示すための製品の製造工程のバリデーションを行っていなかった。https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm534336.htm

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