【最新のFDAウォーニングレター10通の傾向】ASTROM通信<111号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.12.1】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは。
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ここにきて急に冬らしくなってきましたが、いかがお過ごしですか?

さて、ASTROM通信<108号>では、2016年6月30日から9月15日にFDAの製品品質オフィスから出された12件のウォーニングレターについて取り上げましたが、今回はその後に出された10件のウォーニングレターについて、その概要を確認していきたいと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。

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10件のウォーニングレターの概要
注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言です
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■WL:320-16-32 ブラジルの製造所の最終医薬品製造における
 重大なCGMP違反に関する2016/9/12付ウォーニングレター
1. 貴社の品質部門は、医薬品の品質に影響のある全ての手順や、同一性、濃度、品質、純度に影響のある規格について、承認したり不合格と判定したりすることを怠った。
2. 貴社は、出荷前に、製品の各バッチについて、同一性や有効成分の濃度を含む規格への適合の判定を行っていない。
3. 貴社は、製造や、製造した製品が持つと言われている同一性、濃度、品質、純度を保証するための工程管理に関する文書化された手順に従うことを怠った。
4. 貴社は、製品のバッチと関連づけて、製造、管理、販売の記録を、バッチの有効期限が切れた後少なくとも1年間保持することを怠った。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm522983.htm

■WL:320-16-34 中国の製造所の最終医薬品製造における
 重大なCGMP違反に関する2016/9/26付ウォーニングレター
1. 貴社は、製造や、製造した製品が持つと言われている同一性、濃度、品質、純度を保証することを意図した工程管理に関する文書化された適切な手順を規定することを怠った。
FDAは通関手続地でサンプルを収集し、FDAラボ分析により、表示されたどの有効成分も含んでいないことに気付いた。FDAは積荷の入国を拒否し、貴社に苦情を訴えた顧客に通知した。
2. 貴社は、出荷前に、製品の各バッチについて、同一性や有効成分の濃度を含む規格への適合の判定を行っていない。
査察中、貴社は、出荷前に最終製品の全てのバッチについては試験を行っていないことを認めた。
例えば、2015年、貴社はアメリカに出荷した全バッチのうち5バッチしか試験しなかった。
貴社の品質部門は、バッチのアメリカ市場への出荷許可をする前に、全ての製造と管理の記録をレビュし、試験し、全ての製品が規格に適合していることを確実にしなければならない
貴社の調査は倉庫がバッチXXに関して間違った原薬を出庫したことを示唆した。これが、多数の、製品に誤った有効成分を加える誤りの発端となった。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm524001.htm

■WL:320-16-35 日本の医薬品製造所に対する2016/9/26付ウォーニングレター
 貴社は、FDAの査察を制限したり、査察を許可することを拒絶したりした。
1. エリアへのアクセスの妨害
査察中、貴社は品質管理ラボへの査察官のアクセスを制限した。品質管理マネジャは従業員に協力し合って、ラボやアメリカの販売用の医薬品の分析をするために使用する装置へのアクセスを妨害するよう指示した。
2. 文書のコピーの提供の拒否
貴社は、日本とアメリカ市場向けの薬を、同じ装置と工程を使って製造し、2つの市場の販売のためにロットを分割する。査察中、査察官は、貴社が顧客から貴社の薬について受け取った、薬にガラス、髪、ボール紙、金属、変色した薬、黒いクモが含まれているという内容を含む苦情をレビュした。これらの記録のコピーをFDAに提供することを拒み、査察を制限した。
3. 写真撮影の制限
査察中、査察官はアメリカ販売用の薬を製造するために使用されている装置の写真をとろうとした。貴社の品質保証マネジャは、装置の写真撮影の妨害により、査察を妨げた。
貴社は、2016年8月8日に輸入警告を出された。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm522801.htm

■WL:320-16-36 オランダの製造所の医薬品製造における
 重大なCGMP違反に関する2016/9/29付ウォーニングレター
1. 貴社は、出荷前に、製品の各バッチについて、同一性や有効成分の濃度を含む規格への適合の判定を行っていない。
貴社は、最終製品の分析試験を行わず、薬の最終製品の出荷試験の規格を作っていなかったと述べた。
2. 貴社は、全ての成分、容器、封じ込め、工程内の原料、包装材料、ラベル、製品を承認したり不合格と判定したりする責任と権限を持つ品質管理部門を設置することを怠った。
貴社は、査察官に、薬のレビュをし、出荷を承認する品質部門を持っていないと述べた。
3. 貴社は装置の洗浄及び保守管理に関する文書化された手順を制定し、それに従うことを怠った。
貴社は、アメリカ市場向けの製品を、その他の製品の製造に使用しているのと同じ装置で製造している。貴社の適切な装置の洗浄の不履行は、薬が、潜在的な毒性化学物質により汚染されるリスクをうむ。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm524124.htm

■WL:320-16-37 スイスの製造所の最終医薬品製造における
 重大なCGMP違反に関する2016/9/29付ウォーニングレター
1. 貴社は、規格外の結果や顧客の苦情のレビュを含む、品質管理部門に適用できる文書化された責任と手順を制定することを怠った。査察中、貴社は、独立した品質部門を持っていないと述べた。
2. 同一性、有効成分の濃度に関する製品のバッチの試験をすることを怠った。
3. 貴社は、さまざまな供給者から調達した成分の同一性を保証することを怠った。
4. 貴社は、故障や汚染を防ぐために、XXを適切な間隔で洗浄しメンテナンスすることを怠った。
査察中、XXのさびと合致した赤茶色の変色を発見した。
5. 貴社は、製造した製品が持つと言われている同一性、濃度、品質、純度を保証するためのバリデーション手順や報告を含む、製造や工程管理に関する文書化された手順の制定を怠った。
査察中、貴社はプロセスバリデーションに関する手順を持っていないと述べた。
6. 貴社は、貴社の製品が有効期間を通して、化学的・物理的に許容できることを示すデータを持っていない。
http://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/2016/ucm524002.htm

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