【MHRA発!Data Integrityガイダンスドラフト】ASTROM通信<104号>

2017/08/04 製造(GMDP)

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.8.15】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

連日猛暑が続いていますが、いかがお過ごしですか?

さて、2016年7月21日、MHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:英国医薬品庁)が、業界向けのGxPデータの完全性に関するガイダンス(MHRA GxP Data Integrity Definitions and Guidance for industry)のドラフトを発表しました。
このドラフトには、MHRAの規制対象の組織で考慮されるべきデータの完全性に関する要求が述べられていて、2016年10月31日までコメントが募集されています。
正式ガイダンスではありませんが、MHRAが求めるデータの完全性について知るうえで非常に興味深いので、今回はこの内容を見ていきたいと思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

出典:
MHRAホームページ
https://www.gov.uk/government/news/mhra-gxp-data-integrity-definitions-and-guidance-for-industry
ガイダンスドラフト
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/538871/MHRA_GxP_data_integrity_consultation.pdf


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ドラフトガイダンスの抜粋
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■背景
規制対象の生成データは増え続け、その方法は、紙の記録を使った手動から、コンピュータ化システムを使ったものにまで及ぶが、規制の主要目的は同じで、生成されたデータの品質と完全性についての信頼性を持つことにあり、データから活動を再現できることは根本的な要件であり続ける。

■導入
これは化学及び薬剤の開発ライフサイクルの全ての局面を含む組織により考慮されるべきデータの完全性に対する要求を示したガイダンスである。
このガイダンスは、各GxPの一般的な規則やガイダンスと併せて読まれるべきである。
人、システム、設備に関わる組織の手筈が設計・運用され、紙、電子といった全ての形式のデータが完全に矛盾なく正確であることを保証するために適用されなければならない。データの妥当性や完全性を保証するために適用する取り組みと資源は、リスクや、データの完全性の不具合が患者や環境に与える影響に釣り合っていなければならない。
組織はデータチェックへの法的なアプローチの実施は求められてはいないが、代わりに、論理的根拠に支えられたデータの完全性のリスクに基づく、容認できる管理状態を提供する、設計と運用が完全に文書化されたシステムであることが求められる。
日常のデータレビュに加えて、より広範囲のデータ管理のしくみにおいて、社内のシステムのデータ完全性の不具合の発見を可能にする定期的な監査を確実にすべきである。例えば、定期的システムレビュが現行の管理方法の効果を検証し、不正な活動の可能性を考慮するのに対し、日常のデータレビュは個々のデータセットの完全性を考慮すべきである。
注目すべきは、データの完全性の要件は、手動(紙)と電子データに対して同様に適用されることである。組織は、自動/コンピュータ化から手動/紙ベースのシステムへ戻すことが、適切なデータの完全性の管理の必要性を取り除くものでないことに注意しなければいけない。監査または規制当局の査察でデータの完全性の弱さがみつかったら、複数の製造所を持つ会社は、組織全体で、適切な是正処置と予防処置の実施を確実に行わなければならない。
このガイダンスには含まれてないが、データの管理手法の成功における組織の文化や経営陣の動きの影響を低く見積もってはいけない。

■データの重要性とデータの完全性の内在的リスク
データのライフサイクルの組織的、技術的管理のための取り組みや使用する資源は、品質に与える影響の重要性に釣り合っていなければならない。
データは、(i)手動の手段-紙ベースの記録 または (ii)電子の手段-装置、シンプルな機械のスペクトラムから複雑で高度に設定可能なコンピュータ化システム により生成される。

手動で記録されたデータが厳格な管理を必要とする時は、リスク低減のための監督方法の検討がされなければならない。その例として、第二の人物による同時のデータ入力の検証や、関連する情報源(例:装置のログブック)との照合がある。
装置やコンピュータ化システムに関連するデータの完全性の内在的リスクは、データによって異なる。
 

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執筆者について

橋本 奈央子

経歴 株式会社プロス CSマネージャ
製薬企業向け生産管理システムの導入、バリデーション作業に従事。
コンピュータ化システムバリデーションにマンパワーをかけられない中小の製薬企業にて、バリデーション作業支援を実施。
規制当局のサイト等から、最新の規制動向や指摘事例を収集し、月2回ASTROM通信にてご提供。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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