非臨床【第29回】機器管理システムの考え方

機器管理システムの考え方

創薬研究に用いる機器の管理は「システム化」の構築が重要であり、そして確実な結果を確保したいと努力しています。研究室では、血液生化学検査機器や薬物濃度分析機器をはじめ、天秤、冷蔵庫、冷凍庫のような機器、さらには空調などの環境管理機器まで、多くの機器を使用しています。また、特定の管理者が使用する機器から、不特定多数が使用する機器まで様々な使用環境があります。

機器の管理システムは、操作・点検・使用の過程に分けて標準業務手順書(SOP)を作成し、データ管理ではCSV(Computerized System Validation)に注意することが大切です。SOPは、狭い範囲で運用するのではなく、できるだけ広く部門共通を目指すのが大切です。部門の管理者から使用者までの全員が、同じSOPを通じてシステムを守ると効率的な運用に繋がります。

製薬企業の研究体制を考えると、法的な規制要件に沿って、安全性(毒性)研究ではGLPに従い、臨床研究ではGCP、製造はGMPと、それぞれの規制要件が異なります。さらには、探索研究、信頼性基準に従った薬理研究や薬物動態研究もあります。一方で、非臨床試験、臨床試験、市販後臨床試験のような分け方もあります。また、開発テーマ毎の分け方、研究所ごとのような予算上の分け方もあります。これらの社内事情を基本に、できるだけ大きな単位を管理群にまとめて、部門横断的に効率的なSOPが作成されています。

原点の使用機器に話を戻しますと、例えば、LC-MS/MS、HPLCのような分析機器の場合、幾つかの機器がセットになり、ここに分析対象に固有の機器とカラムが加わります。試料と溶媒を用いて1クールの分析終了後、残試料と廃液の処理があります。そして個々の機器のメンテナンスSOPに加えて、分析機器セットのメンテナンスSOPを運用します。
このような運用では、メンテナンスの終わった分析機器セットを維持すれば、使用者は分析開始時にカラムをセットし、試料と溶媒を準備し、SOPに沿って分析開始の確認作業後に、直ちに分析に入ることが可能です。終了時はSOPに沿って終了時作業を行います。使用者が測定結果の解析に入ると、分析機器セットは管理者に戻され、メンテナンスSOPに沿って、必要なら消耗部品交換などを行って維持管理を行います。

アメリカの分析委託研究施設を見学した時に、分析機器セットの維持管理について情報交換したことがあります。SOP社会のアメリカならではのシステムで、分析機器の個人使用は行わず、管理側が常に最適な分析機器セットをメンテナンスし準備しておき、分析担当者は分析機器管理者からシステムを受領して、分析業務を行っていました。ルーチンには最適なシステムであり、基本的に個人使用を認めないスタンスは一理あると思いました。

このように分析機器システムを部門共通で機器管理を行うことで、安定したデータのアウトプットが見込まれます。中央機器分析室のような発想です。機器分析を行う場合に、誰がどの機器をいつ使用しても、問題なく稼働し、確実に同質の結果を示すことができ、試験データの質の保証、つまり信頼性に繋がります。データが変動するリスクを少なくする努力になります。もちろん、研究はアウトプットが大切であり、長期の視点で、研究室に最適化するのが大切です。
 

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