GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第56回】

手順書

1.規格と工程検査
 ICH Q6A1)に、「規格とは、試験方法、その試験に用いる分析法に関する記載、ならびにその方法で試験したときの適否の判定基準(限度値、許容範囲あるいはその他の基準)からなるリストと定義される。」とある。規格は、そのロットの適否を判定することになる。一部をサンプリングしてそのロットを判定することになるので、そのロットが均一でない事項に対して判定することは難しい。図に示したように、クマのぬいぐるみの製造において、製品が損傷したものが含まれたり、ウサギのぬいぐるみが紛れ込んだりした場合、問題ない正しいクマのぬいぐるみをサンプリングすれば、一部に不適切な製品を含むロットであっても、すべてが適合と判定される。また、ウサギのぬいぐるみや損傷したクマのぬいぐるみをサンプリングすると、不良率がどんなに低くてもロット全体すべてが不適合と判定される。医薬品の試験はロットが均一でなくてはならないことになる。異物の混入した時、異物の混入を確認するための再サンプリングをするケースがあるが、異物の混入は、均一ではないので、再サンプリングで、異物の混入がないことの検証はできない。


   ICH Q6A1)に、工程内試験について次のように記載されている。「工程内試験は、本ガイドラインに示されたように、出荷の際に行われる一連の正式な試験の一部としてではなく、原薬や製剤の製造工程において実施される試験のことである。製造工程の作動状態の指標となるパラメータ群を適切な範囲内に収めることを目的としてのみ行われる工程内試験、例えば、コーティングを施される前の素錠の段階での硬度や摩損度の試験ならびに個々の錠剤の質量の試験は規格に含めない。」工程内試験は、製造工程中で行われる規格ではない。製造工程を管理するために行うものである。例えば、乾燥工程における水分量を測ることで、乾燥具合を確認し、もし乾燥が不足しているなら、乾燥時間を延長する。ロット番号や使用期限の印刷状態を確認するためのカメラ検査は一つ一つの製品を良不良の判定をする。印刷状態をバリデーションしても、ロット全体として判定することは困難である。製品のウエイトチェッカーも同様であり、シート等の過不足の確認のために行い、ロット全体を判定するものではない。製造販売承認書に工程内試験について記載されているため、その値が外れた時に、まるで、規格のように扱い、逸脱処理を行う製造所もあるかと思うが、工程内試験を設定した目的を理解して、何をコントロールすべきかを把握することが重要である。
 規格として設定すべき事項は、バリデーションによりロット内において均一であることが検証されていなければならない。ロット内及びロット間においても、均一でなければ、医薬品としての品質が担保できない。しかし、他の工業品と同様に、すべての事項が均一にすることは困難である。また、工程管理として担保すべき工程内試験について、規格と同様な取り扱いするのではなく、工程管理を適切に行うために必要なバリデーションを行わなければならない。工程をいかにコントロールして、品質の保証ができなければ、GMP管理として十分とは言えない。

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