【続 最近のFDAウォーニングレター】ASTROM通信<88号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2015.12.15】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー



こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今年も残すところあと15日となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、今回は、前回に引き続き、FDAの製造及び製品品質オフィスから発行されたウォーニングレター(Warning Letter)について見ていきたいと思います。
※文中の“XX”は、ウォーニングレター中でマスキングされている文言です。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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ウォーニングレター(1)
WL:320-16-01 2015年10月22日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2014年8月25日~29日 及び 2014年8月12日~28日にインドの2ヵ所の製造所で行われた査察において、最終医薬品の製造に関し、CGMPからの重大な逸脱が確認され、2014年9月19日、9月22日付の貴社の回答の是正処置が不十分であった。その後の回答も同様だった。

A.Kalwe製造所(最終調剤製造所)
 
1.製造、加工、包装、バッチの保存といった製造の重要手順を完遂したという文書を含む製造及び管理の記録を作成していなかった。
 
2014年8月28日、FDA査察官はバッチの製造活動が同時に文書化されていないことに気付いた。2つの正式に管理されていないEXCELのスプレッドシートが、品質の不一致の記録と、ある工程内の品質データの記録に用いられた。バッチの製造記録に、このデータは、最初はなかったが、後でバックデートで入力した。
2014年2月22日の貴社の回答において、貴社はバッチの記録のレビュ中に気づいた不一致は、スプレッドシートに記録することを認めていた。そして、バッチの記録になかったデータは、バックデートで追加されていた。CGMPのバックデートの記録は許されない。貴社は、製造所を 横断して文書を監査し確認するために監査・コンプライアンスグループを作ったと言った。しかし、この実践がいかに広がっているかを貴社は示さなかった。
 
2.主要な装置の保守に関する、適切に文書化された記録の保管を怠った。
 
2014年8月25日、査察官は、ゴミ袋の中に予防保守作業指示の原本を見つけた。
予防保守作業中にみつかった装置の状態に関する手書きの記録を含む部分的に完成した文書がゴミ箱からみつかった。しかし、これに該当する正式な記録に同じ情報はなかった。
 
3.製造、加工、包装、保管に携わる各職員が、任命された職務を実行するために、教育、訓練を受け、経験があること、CGMP教育の訓練が、適格な人により実施されていることを保証することを怠った。
 
面談中、他の契約社員を教育する契約社員は、提出を求められた教材について説明することができなかった。更に、契約社員の多くは、英語を話せないにも関わらず、英語の教材のみが提供されていた。
公式ファイルでは合格となっていた従業員の不合格の訓練評価フォームがゴミの中にあった。
貴社の方針によれば、不合格のスコアの職員は再訓練しなければならないが、貴社は従業員の公式記録の中で、再訓練のエビデンスを提供できなかった。
 
4.仕様との説明のつかない不一致または不合格のバッチまたはバッチの成分について、十分に調査することを怠った。
 
貴社はOOS(out-of-specification)の不純物の結果について調査を怠った。これらの結果の完全な調査をする代わりに、結果を“実験用”として分類した。
更に、貴社の職員はFDAに不具合の報告をしたが、薬事関連業務部門は、製品が承認されるまで不具合の報告をしないことを決定した。貴社の情報を知らせないという判断は重大な懸念を生む。
 
5.権限を与えられた人のみが主要な製造及び管理の記録の変更をすることを保証するためのコンピュータや関連システムの適切な管理を怠っている。
 
2014年8月25日、試験や原材料や工程内の製造品の使用許可に使われている機器によって生成された実験室のデータにアクセス制限がないことを発見した。貴社のコンピュータシステムはデータの改竄を防ぎ、データの不正アクセスを検知するために必要な管理が欠けている。
貴社が新しい機器の適格性評価を行っている最中であると認識している。しかし、貴社の回答は未だに不適切である。貴社は、管理されていないシステムによって生成された使用許可判定に使われるデータが改竄された場合の影響を評価していない。

B.Turbhe製造所(原薬及び最終調剤製造所)
 
貴社がTurbhe製造所を閉鎖または売却する計画をしていることを知っているが、それでも、無菌工程の管理でいくつかのCGMP違反があり、それはWarning Letter 320-12-05の違反と似ていたため、Warning Letterを発行した。
1.無菌の医薬品に微生物の汚染を防ぐための文書化された適切な手順を作り、それに従うことを怠った。手順には、無菌工程及び滅菌工程のバリデーションを含む。
 
a.貴社は、殺菌した最終製品を作るために使用される無菌充填ラインの単向性の空気の流れの適切な検証を怠った、査察官により照査されたビデオに納められた煙検証は、手動介入中の空気の流れのパタンを適切に文書化していなかった。いくつかのケースにおいて、空気の流れは観察も評価もされていなかった。不十分な煙検証と少ないカメラのアングルは単向性の空気の流れを測定することを不可能にした。
b.貴社は、介入、定期的調整、セットアップ、充填終了後のユニットの取り外し手順を作ることを怠った。
 
2.貴社は、無菌工程エリアの環境条件をモニタリングする適切なシステムを作ることを怠った。

出典:
http://www.fda.gov/iceci/enforcementactions/warningletters/2015/ucm474013.htm

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