医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第71回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「日本製薬企業に求められるハザード特定の重要ポイント」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も、夫々の工場で日々働いています。現場で働く従業員の皆さんの安全健康を、企業として第一優先で担保せねばなりません。それには現場のハード面、ソフト面のハザードの特定を漏らさず出来る事が、初歩的な重要事項となります。各種リスクアセスメント行い、マネジメントシステムをまわしてゆく事が出来る工場か、否かは国際化の段階でAuditにより、明確に指摘事項として工場の優劣が公表されます。
ハザードの特定とは:
ハザードの特定は、事故やトラブルを引き起こす可能性のある危険な要因を特定し、リスクを評価するプロセスです。ハザードを見逃すと、重大な事故やトラブルにつながることがあります。特に、医薬品製造工場、航空業界や医療現場、建設業などの高リスク業界では、ハザードの特定が生死を分けることもあります。
ハザードの特定を漏らさず行う事により、現場のハード面やソフト面のリスクを評価して優先順位に従い、大きなリスクからリスク低減対策を行うことができます。これによって、医薬品工場の現場はTotalリスクの小さな現場になり、働く従業員の皆さんは安全で、又、健康に働く事が出来るのです。これは簡単では無く、一度実施したハザードの特定によるリスクアセスメントで低減したリスクを再評価し、まだ許容出来るレベルになっていない場合は再評価を行います。更に、優先順位の高いリスクからリスク低減対策を行うというマネジメントシステムを廻して行きます。これが俗に言うリスクマネジメントです。この手法は、EUでは30年以上前から実施されてきました。日本ではまだ15年程度の歴史となっています。これが大原則で、従業員さんの安全健康を守るという大原則を実行する為には、欠かすことの出来ないグローバルスタンダードであり、あるべき姿なのです。
製薬工場などでは、生産機械がラインを構成していることが多いので、EUのグローバルスタンダードでは、プロセスリスクアセスメントとしてあらゆるカテゴリーのハザードの特定を行わねばなりません。原薬曝露リスク、安全リスク、エルゴノミクス(人間工学的)リスク、火災リスク、化学物質漏洩リスク、環境影響リスクなど、リスクの特定を行うには各種の知識を持った専門性が問われます。又、リスクの特定を行うにはその前に分析調査を行い、ハザードの特定の精度を上げてゆく必要があります。以下のような手法や分析情報調査が、ハザードの特定を有効に、そして漏らさず行う前提となります。
- KSE(Key Safety Element)器具類でハザードとして重要な対象物
- HAZOPとはハザードおよび操作性に関する調査(HAZOP:Hazard and Operability Study)。プロセスの流れに沿って、ガイドワードを当てはめ、望ましい状況と比較して発生する可能性のある逸脱を評価する。
- 安全性評価手法の種類と適用 適用目的 主な安全性評価手法
- (1)チェックリスト(CL)
- (2)相対的危険度評価(RR)
- (3)予備的危険性評価(PHA)
- (4)What-If(WI)
- (5)What-If/チェックリスト(WI/CL)
- (6)HAZOP
- (7)故障モード影響(重大性)解析 (FME(C)A)
- (8)フォルトツリー解析(FTA)
- (9)イベントツリー解析(ETA)
- (10)原因結果解析(CCA)
ハザードの特定がもれなく出来る人財を育成することによって、HSEやGMPのグローバルスタンダードに従い、よりレベルの高いハザードの特定が出来る工場となれるよう努力される必要があります。これには毎日、人の行動や設備の問題点・弱点などを専門的な技術者の目で音・色・匂い・振動などからハザードを特定し、リスクを見抜く事が重要です。マニュアルやSOPで出来る仕事ではありません。
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