トリアゾラム原薬の製造所虚偽の事件

トリアゾラム原薬の製造所虚偽の事件について。
NHK 2022.02.17
輸入した原薬「国内製造」と偽り販売か 元役員ら逮捕 警視庁
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220217/1000076782.html
(参照 2022-02-25)
種々の記事を確認すると以下のようです。
(誤解がありましたら、ご指摘いただけると幸いです)
- 2021年7月に製販3社(+販売会社1社)が下記の理由で回収
- 本製品に使用した原薬トリアゾラムの一部ロットについて、製造販売承認書に記載がない原薬製造所で製造された原薬であることが判明しましたので、当該原薬を使用した対象ロットを自主回収いたします。
- 問題のある原薬を使用して製剤の出荷時期
2019年9月以降~回収時まで - 製造所/製造販売会社/販売会社は気付かなかった
- 従来の国内原薬調達先が在庫確認から、存在しない製造番号があることに気づき、厚生労働省などに通報(2021年6月)
- 元役員ら逮捕と偽造・偽証した会社(L社)を書類送検(2022年2月)
- L社は韓国の原薬会社からトリアゾラムを購入かつ従来の原薬の包装に似せて包装して製造所/製造販売会社に従来と同じように見せて販売を行った。
原薬の製造所が中止になり、別の製造所の原薬に切り替えることはよくあることです。以下の点を確認をします。
- 品質面
- QC関係
- 理化学試験(トリアゾラムは局外規)
- 追加の確認
- 不純物プロファイル確認(一般に新規不純物が0.1%以上ないかどうか)
- 異物
- 物性(結晶形、粒子径、粒度分布)の溶出試験影響(溶ける溶媒で造粒している場合は関係ない)
- 微生物(一般細菌、真菌、特定菌)
- PVロット及び実生産品の加速試験/長期安定性試験
- QA(製造所&本社)
- 新規原薬製造所のGMP査察
- 新規原薬製造所との品質取決書締結
- 製造関係
- 試作/PV実施
- レギュレーション面
- 原薬の銘柄追加の一部変更申請
- MF登録または製造販売承認書記載
- QC関係
L社は従来の製造所が製造中止したことと別の原薬の紹介を製造所/製造販売会社にすれば、多くは製造所と製造販売会社が行うことです。そこには偽造・偽証する必要性はありません。変更費用は製造所と製造販売会社が負担します。
他の会社の原薬に変更されるリスクを考えて、魔が差してしまったのでしょうか。
一方、騙された製造所と製造販売会社、販売会社は、私たちは犠牲者だと思われているかと思います。確かに犠牲者ですが、患者様&医療関係者に問題ない製品を提供する責任と義務があります。お客様から責任を追及されたとき、「私は悪くない。騙した方が悪い」と言い切れるでしょうか? 今はこのような偽造・偽証も含めて品質保証をしていく責任があります。ヘパリンやグリセリンで原薬製造所が意図的に偽造・偽証していた問題がありましたが、まさにその日本版です。
問題はなぜ気づかなかったか?です。
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