エッセイ:エイジング話【第33回】

分類すると!

 分類すると何事も分ったような気分になります。やきものを陶器と磁器に2分類し、土から陶器が石から磁器がつくられるとすると、一旦やきもの全てが分かった気になるから不思議です。
 クイズの答えなら正解なのですが、陶器と磁器が異なる一面でしかありません。石が風化して土になると、石と土の境はどこなのか、主成分が同じならば形や大きさで区分するのか、もう判らなくなってきます。はっきり区別して、土ものよりも石ものを極めるとする専門家もみかけます。私は使って馴染むやきものが何れも好みです。

磁器
ロイヤルコペンハーゲン:デンマーク製
中味は珈琲、ウオールナットのカウンター上で~
陶器
自作:日本製
中味は緑茶、樟の座卓上で~


 3分類だと、もっと分けるのに悩みます。炻器(せっき)という陶器よりも硬く焼締める器もあります。また、名のとおりに中間的な半磁器(はんじき)という分類もあります。母は専門家だった父から磁器が格上と叩き込まれており、私が半磁器を珍重していても、「ああ半磁器ね!」とかなり上から目線でした。
 さらに半磁器は、硬質陶器(こうしつとうき)とも呼ばれていると知ると、もう陶磁器の分類は複雑怪奇です。磁器でも陶器でもない祖父から譲り受けたカップに紅茶を注ぐと、白過ぎない生地とブルーが紅茶にマッチし、ユッタリした世界に浸れます。

硬質陶器に紅茶を注いだところ
ROYAL DUCHESS:英国製
カップの裏面
Old Blueシリーズ
1910年代モノには貫入あり~
国産の半磁器(硬質陶器)
金沢市長町で明治41年に創業された日本硬質陶器(現ニッコー)で永く
つくられる定番 右は:山水シリーズ 左は:錦山水シリーズ
当時は外貨獲得のため、陶磁器産業が国策として奨励された。

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