省令改正案検討の経験からみるGMP省令改正のポイント【第6回】

製造管理について。
製造管理(10条)
製造管理については、大きな改正点は議論されていません。新設されたものでは、第2号の「製造指図書に基づき…職員に対して当該作業を指示すること」があります。これに関連して第3号では、課長通知に「製造指図書に基づかない製造作業が故意に行われることにないよう厳重な手順を定める」こととしています。これは、承認書との相違の問題を受けての表現となります。また、「製造指図書からの逸脱が判明したときは第15条の逸脱として」対応することが求められます。以下、復習の意味でも課長通知とパブコメ意見⑴から確認してみます。製造指図書は、省令で「製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した文書」と定義されます。パブコメの製造部門の責任者が製造指図書の原本を承認することで当該作業の指示とみなすかといった趣旨に対して、厚労省の考え方として製造指図書の作成に係る承認を行うのみでは当該作業の指示とならず指図書の記載内容が確実に伝達される必要があると回答しています。Q7では製造指図書原本の承認は品質部門の責任(2.22の5)、製造指図の発行、承認は製造部門の責任(2.3の1)となっていて指図書原本と指図とは区別されます。第20条第1項で規定する文書の承認について厚労省はあくまでもあらかじめ指定した者と、その内容等に関して熟知している職員としていて、Q7のように品質部門でなければならないといった具体的なところまで言及していません。しばりとして、その者は第6条第4項の文書に適切に定めることとしていて、製造・品質関連業務に従事する職員の責務及び管理体制を文書で定めることが求められます。
品質管理(第11条)
第1項第1号については省令上文言の変更はないものの、課長通知で細かに追記されています。製品等はロットごと、資材は管理単位(GMP事例集)ごとに検体採取します(従前どおり)。課長通知では、原則として品質部門の職員が検体採取することとなっていますが、品質部門の独立性が保たれる限りは、品質部門の監督指示の下、製造部門の職員が検体採取することは差し支えないと記載されているので、品質部門に係る条件を満たすことが証明されればよいことになります。検体採取の品質部門の独立性については、例えば採取方法・手順について製造部門の判断にゆだねることは独立性があるとは考えられないので、品質部門が定めた採取方法に製造部門は忠実に従うということになります。この独立性と監督指示の下というところが満たされないと省令の第11条に反するとともに判断によっては第4条第2項にも反することになるので注意しなければなりません。なお、課長通知では、PIC/S GMP Annex 8 ⑵が参考となるとしているので、この要件はリスクベースでの指導の可能があります。特に非経口剤の原料、製造業者が不明又は監査されたことのない原料を仲介業者から供給された場合は、確認試験(Identity)は全ての原料の容器から検体採取しなければならないということについて留意しておく必要があります。ちなみに、全ての容器から採取した検体を用いて確認試験する場合にコンポジット(混合)してよいかということについてはFDA cGMPのQ&A⑶に条件が記載されています。
第1項第3号は品質部門の責任者が試験検査に従事する職員に対して文書により指示することとしています。課長通知はこれに対して試験検査指示書による指示を要するとしています。また、試験検査指示書の内容が当該医薬品の承認事項と相違することがないよう管理することは試験検査に係る重要な業務のひとつとされています。この記載は、2015年の製造不正問題以降を受けての一斉調査の状況を踏まえた対応となります。その他、第5号・第6号の保存品や参考品に関わる追加は、2013年8月に通知⑷された内容を踏まえた整備となります。
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