【インド問題 & EU GMP Annex17諮問書発出】ASTROM通信<83号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2015.10.01】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー



こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

秋の気配がいよいよ濃くなってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて、今回は、下記2つのヨーロッパネタでいきます。
1)7月にEMAがインドの後発医薬品の販売禁止を決定した件につい
2)9月15日に発出されたEU GMPガイドラインAnnex17(リアルタイムリリース試験)の諮問書について

リアルタイムリリース試験は、各工程でリアルタイムに品質を評価することにより製品の品質を保証する方法で、リードタイムを短縮し効率的に出荷が行うことが期待されるため、今後ますます普及していくと思われる興味深い話題です。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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インドの後発医薬品の販売禁止
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2015年1月に欧州医薬品庁(EMA)は、インドのGVK Biosciencesで臨床試験が実施され欧州連合(EU)内で販売承認されている約700の後発医薬品について、臨床試験の信頼性に関する懸念を理由に、販売禁止(サスペンション)を勧告していました。
これを受けて本件の再調査を実施した結果、ヒト用医薬品委員会(CHMP)は、2015年5月21日に勧告を採用し、ついに欧州委員会(EC)は、2015年7月16日に欧州連合各国に適用される法的拘束力をもったサスペンションの最終決定を下しました。

これらの医薬品の一部は、もしそれらが患者にとって非常に重要であれば、いくつかの国の市場に残る可能性があります。
医薬品が患者にとって重要かの判断は、欧州連合各国によって実施され、重要と判断された場合、会社は追加の臨床試験データを提出するために12ヶ月の猶予を与えられることになります。

EMA通知
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Referrals_document/GVK_Biosciences_31/WC500191576.pdf
サスペンション対象医薬品のリスト
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Other/2015/05/WC500187078.pdf

2015年8月6日付フィナンシャル・タイムズによると、アメリカでも、昨今品質の懸念からインドの製薬会社数社の輸入を禁止しているそうです。

インドの製薬産業は、この10年、安価な後発医薬品を大量生産することで急激にシェアを伸ばしてきましたが、数年前からその伸びが劇的に鈍っているそうです。今回のECの決定で、更に影響を受けるかもしれません。

2015年8月6日付フィナンシャル・タイムズ
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90216560W5A800C1000000/

<コメント>
エコノミック・タイムズによると、インド政府は、国内の数千の製薬会社を説得して製造設備を向上させ、PIC/S基準に合致させようとしているそうです。しかし、製造設備を向上させるだけでは、品質に関する信頼を回復することは難しく、そう簡単に後発品のシェアを伸ばせないのではないでしょうか。

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