医薬品品質保証こぼれ話【第40回】

リモート監査の課題と対応の考え方

新型コロナウィルスによるパンデミックは世の中の様々な営みに大きな変革をもたらしましたが、中でも、様々な領域への“オンライン”の適用は、このコロナ禍における変化を象徴するものと言えるでしょう。オンラインによるコミュニケーションにおいては、対面の会話では難なく行えた“間の取り方”や“相手の表情や言葉の機微を読み取り円滑に話を進める”、といったことが簡単にできないといった課題がある一方、活用次第ではメリットにつながる思わぬ発見や示唆も得られています。大学における授業や企業における会議をはじめ、あらゆる領域においてオンライン対応が行われる状況下、教育や業務の質の低下などが取り沙汰されていますが、目的に応じて使い分け、また、併用することで無駄を省くことができ、うまく運用すれば従前より効率的に教育や業務を進めることができるという見方も少なくないようです。ちなみに、“オンライン診療”に関しては、先日(6月8日)、政府が“オンライン診療の恒久化”に向けた新たな制度案をとりまとめたとの報道がありました。これまでの、新型コロナウィルス対策としての時限的な措置から一歩前進し、“かかりつけ医”を原則とし、薬剤師の服薬指導を含め、初回からのオンライン診療を可能とする内容であり、来年度からの実施が予定されています。

医薬品の製造や品質管理の領域においてもオンラインによる様々な対応が試みられていますが、その代表的な事例としてリモートによる製造所の品質監査や行政査察の実施が挙げられ、すでに、委託先製造所や原薬製造所に適用されています。ただ、その実態は今なお試行錯誤の中、実効性のある進め方が模索されている状況かと推察します。医薬品の製造所監査は、原薬・製剤を問わず、製造や品質管理に関する“標準作業手順書やGMP記録”(文書記録)、および、“工場施設の設備や機器”(設備機器)の状態を詳しく確認することにあり、両者とも工場に赴き現場で実地に確認するのが本来ですが、それができない今の状況下では、リモートにより如何に実地確認に近い状況を確保するかといった点が課題となります。

今の世の中はICT(information and Communication Technology:情報通信技術)の進展により、スマートフォンがあれば地球上のどこにいても、いつでも画面を通して相手と対面し言葉を交わすことができます。ひと昔前には想像すらできなかったことであり、至便で隔世の感がありますが、それでも、同じ場所で直に会って互いの表情を窺いながら会話することでしか満たされないことが多々あることは、誰もが感じているところではないでしょうか?ただ、単に業務に必要な意見を交わし、低コストに大量の情報を共有するという点においては、ICTは大変有効と言えます。どこでも、いつでも、複数の人と同時に情報交換ができ、必要に応じて大容量の画像や動画を送受信できる。こういったことはICTの進展なしには為し得なかったことであり、リモート監査はこのICTを駆使して如何にして実地調査に近い効果を得るか、それが検討の中心になると考えられます。ただ、課題は少なくありません。

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