中国原薬企業へのNon-compliance Reportと最近の欧米査察に関する考察

2016/03/25 品質システム

余 知暁

"2015年10月30日、チェコ共和国の医薬品管理当局(State Institute for Drug Control)は中国湖北省宏源薬業科技股分有限公司(HUBEI HONGYUAN PHARMACEUTICAL CO., LTD.)の原薬製造工場と中間体製造工場に対して査察を実施した結果、Critical不適合事項が指摘されたことに伴い、2016年1月20日、Eudra GMDP Webサイトにて、この二つの工場に対するNon-compliance Reportが公表された。

原薬製造工場について、Criticalな指摘事項は、品質保証システムにおいて1項目、Major指摘事項はサプライヤーの適合性評価、データ完全性、OOS処理、品質管理、変更管理などにおいて10項目、その他の不適合事項(原文にMinorの表記は無い)は13項目見られた。

もう一つの工場は上記原薬の中間体の製造工場であり、スポットチェックが実施された。宏源薬業科技股分有限公司は、この工場はEU GMPに適合していないと紹介したが、査察官の想像もつかないほどひどい状態であったと推測され、Non-compliance Reportでは、施設と設備について「a devastated state(廃棄されるぐらいの状態)」という言葉が使われている。この中間体工場について、Critical不適合事項は以下の5項目である。

 a. 製造場所および設備が廃棄されるぐらいの状態
 b. 厚い塵埃が見られ、清掃されていない状態で
   施設と設備の交叉汚染につながる
 c. 施設と設備はメンテナンスされていない
 d. 殆どの製品はラベル表示されていなかった
 e. バッチ製造書類が見られない"

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執筆者について

余 知暁

経歴 株式会社シーエムプラス中国リエゾンオフィス所長、GMP Platform コンサルタント。
2005年瀋陽薬科大学を卒業、同年日系大手エンジニアリング会社に入社。GMP部門のバリデーションエンジニアとして、日本において新設医薬製剤工場設立におけるバリデーション業務、DQ/IQ/OQ要領書の作成に従事。2010年上海東富龍科技股分有限公司入社。凍結乾燥機のエンジニアリング業務での通訳及び日中間における各種契約事項の調整に携わる。2013年株式会社シーエムプラスに入社。 PMDAによる中国製薬企業原薬工場GMP調査での通訳経験を複数回有し、中国語、日本語、英語と三ヶ国語を扱う。
2018年には中国CFDA(現NMPA)が主催する『日本のGMP査察システムに関する検討会』にメンバーとして参加。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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