細胞加工施設を運用するキャリアの謎【第4.5回】

さて本稿は、細胞培養加工施設と呼ばれるハードウエアに関わる人間が、出自文系という不可思議なキャリアを絡めつつ、再生医療分野についてつらつら書いているコラムだ。…というか、だった。2020年1月までの話です。
 つまり本連載はほぼ1年ぶりの掲載で、それは果たして連載なのか?という気はものすごくするのだが、ではその期間になにがあったかといえば、そう、新型コロナの蔓延である。Covid-19である。毎年、今年の漢字だの流行語大賞だのの時期になると、1月の話が「これって今年だっけ??」という気がしてしまうほど薄れるのが常なのに、今回コロナスタートだったことは記憶に生々しく、しかも今なお継続中のこの案件。
 今回はいざ連載を再開するにあたり、一体筆者になにがあってこんなに間が開いて、しかも再開することになったかを、インターミッション的にお話ししたいと思う。ゆえに読み飛ばしても次回以降なんの支障もありません(次回読んでいただく場合の話ですが)。

 みなさまは、このコロナ禍を、どう過ごしましたか?

▽コロナ禍の過ごし方
 こんな冒頭を書くと、まるで筆者が医療機関系列で忙殺されていたり、もしくはコロナに罹患して大変だったり、という事態を想像される方がいるかもしれないので先に申し上げておくと、それは誤解である。筆者は現在まで、実に健康に業務を行っている。テレワークの恩恵も、ほんのちょっとしか受けられなかったくらいだ。
 前回(第4回)の原稿をあげたあと、新年1月はセミナーがあったため、連載は(例によって)おやすみ。さて2月に続きを書きましょうかと思ったこのタイミングこそ、新型コロナが某船を席捲し、徐々に世間を騒がせ始めたころ合いだった。
 筆者の居住エリアでは、日々なにをするにしても、渋谷か新宿を通らないわけにはいかない。もしあの人波を通り抜けていない日があるなら、それは吉祥寺で遊んでいる日!…ということになる。報道でも散々「賑わっていやがる」感をさらされた、そんな区域に住んでいる以上、人混みからは逃れようがない。したがって徐々に感染と社会不安が広がる中、閉じこもることもできなかった筆者は、
「もし新型コロナとやらがさらに蔓延してしまえば、遠からずどこかで私も罹るだろう。そうなればとにかく閉じこもって、取り急ぎ我が家のネコに伝染すことだけは避けねば」
 一人そういう悲壮(?)な決意をした上で、CPCにかかる業務をこなしていた。そういう次第である(なお、猫科動物がコロナに罹患するリスクがあるという情報は、結構早い段階で共有されていた。そのペット記事が『外に出しちゃダメ!うちの子がコロニャンに!?』…などというふざけたタイトルだったせいで、いまだに我が家では帰宅後の手洗い前に猫が突っ込んできた場合『コロニャンになったらどうするの』というお説教がついている。閑話休題)。
 あれよあれよという間の自粛要請、仕事は動き続けているとはいえ、ぶっちゃけマスクと消毒用アルコールは手に入らないのである。無塵衣などもっての他である。医療機関の皆様の活動を邪魔をするわけにはいかないのである。でもアルコールとマスク供給が止まってできるCPC業務ってなんだよ!という話である。3月末まではなんとか工事だの再バリデーションだのが動いていたのだが、この春の時点で「業務」とは、ものごとを動かすための業務ではなく、ものごとを止めるための業務と化した。果ての緊急事態宣言、はっと気づいた時には、桜の上に雪が降っていた。

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