中国における後発医薬品と先発医薬品との差の根本的原因

2015/11/25 その他

謝 沐風

医薬品は特殊な商品として、国民の生活において重要な役割を担っている。但し、中国の製薬工業は先進国と比較すると、まだ大きな差がある。これは中国の病院で処方された先発医薬品の圧倒的な量からも分かる。それでは、なぜ中国の後発医薬品と先発医薬品の扱いにこれほど大きな差があるのだろうか?本文では固形製剤を例として、産業チェーンにおいてその理由を分析しようと思う。

ステップ1 臨床試験を申請する前の薬学研究
2つの要件に差がある。

1. サンプルを製造する規模に対する要件について、先進国は連続3ロット、ロットサイズ≧10万錠を要求している。これは、プロセスの安定性と工業薬剤学、かつ開発資金に対する要件も反映している。しかしながら、中国はこの点において要件は曖昧で、沢山の企業は1万~3万錠のみを製造し、すぐに申請を提出している。実際は更に少ない場合もある。

2. 溶出試験は経口固形製剤を評価するための重要な指標の1つで、先進国は1990年代に「特定の溶出試験条件(区分性、体内外関連性等の要素を考えた上で決める)において、3ロットの後発品の多種類の媒質での溶出行動が先発品と合致する」という開発要件を提出した。この要件に適合させるために、各研究施設は製剤の各要素(原薬、添加剤、設備、プロセス、人員等)に対して深く研究しなくてはいけない。
2011年4月に、中国もこの要件を明確に提出した。但し品質規準は「1種類の媒質における一定時間での限界値」だけが要求された。規準は高くは無く、研究施設は細かく製剤開発を実施しなくても合格が可能であり、審査は通る。

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執筆者について

謝 沐風

経歴 上海食品医薬品検定所 副主任薬剤師
1988年より上海食品医薬品検定所にて医薬品新薬の評価、中国薬局方の起草、実地調査と品質基準制定に従事。2003年には国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)薬品部にて医薬品の規格および分析法の開発・バリデーションに関する研修を経験。中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)高級教育学院の非常勤教師、CFDA市場監督事務室専門家顧問、CFDA医薬品審査評価センター顧問を兼任。2012年6月「国家後発医薬品等価性評価プロジェクト(中国)」に専門家として参画。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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