業界雑感 【2020年4月】

2020/05/01 その他

 もう20年近く前になるが、Theory of Constraints(TOC:制約条件の理論) が「ザ・ゴール」という小説で紹介された。製造工程やサプライチェーンでは、それぞれの工程やプロセスがつながっており、全体の生産量やスループットを向上させるには、ボトルネック(制約条件)となっている工程やプロセスを特定し改善することが重要で、極端な言い方をすれば、制約条件以外への注力は全体スループットの向上に寄与しない、すなわち「ムダ」であるとする理論である。ビジネス小説の中の世界とは言え、改善の効果みるみる見えてくるという内容だったので、一晩で読み切った記憶がある。
 ここにきて新型コロナウィルス感染症への対応で、韓国モデルが注目され、日本ではPCR検査の数が少なすぎることが問題であるという論調が優勢になってきた。韓国はもともとSARSの経験からウィルス感染症対策が進んでいて、検査能力についても日本より高かったという背景もあったとのこと。日本で同じことができたか、といえばこれもなかなか難しかったのかもしれない。当初は検査機関の検査能力ばかりが報道で取り上げられていたが、民間検査機関の活用も含めて一日あたりの処理可能数が一万数千件になったといわれている今でも、実際の検査数はいまだ数千件にとどまっている。PCR検査そのものが時間のかかる非効率な検査法で検査できる技術者も不足していたことがボトルネックとなっているのか、と思っていたのだが、どうもそうでもないようである。

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執筆者について

村田 兼一

経歴 村田兼一コンサルティング株式会社代表取締役。
1978年藤沢薬品工業(現アステラス製薬)入社。注射剤製造、無菌バリデーション技術開発、FDA対応、基幹システム(SAP)開発等に従事後、生産本部にて中期戦略企画、工場分社化推進・合併準備委員会に携わる。合併後のアステラス製薬では、戦略企画の後、製造委受託の推進を担当する。
2012年に退社し、村田兼一コンサルティング株式会社設立。工場の原価をはじめとする計数マネジメントを中心に、SAP開発を含むサプライチェーン全般の管理・改善を専門とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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