「モノづくりの君へ」【第1回】

【第1回】
はじめに
1.「何故モノづくりのマネジメントなのか」―研究・開発とモノづくりは違う―
2.「貴君は何のために仕事をし、貴君のレゾンデートルは何か」

 
はじめに:
 これから数回にわたって「モノづくりの君へ」と題し、製薬会社の製造、品質保証、設備、CMCといった各部門、また設備や原材料に関する協力会社等で、広く「薬」のモノづくりに携わっている方々、それも特に「幹部・管理者とその候補生」の方々へ、「"より実践的"なモノづくりのコツ・ノウハウ」について伝えていきます。
 
 「幹部・管理者とその候補生」に注目するのは、実際のモノづくりの現場で作業にあたる方々は、優秀・熱心・情熱があり、人材もそれなりにいますが、それをマネジメントする幹部・管理者の不足とレベル低下が、今後の日本のモノづくりの問題のひとつと思うからです。
 
 これを書くに至った経緯や動機は、私自身のモノづくりの経験やそこで得た実践的体験が大いに関係しているので、まず自身の経歴を述べます。
 
 
 私は日本電気株式会社(NEC)で、半導体部門での「モノづくり技術」を約30年間経験した後(入社当時はデバイスの開発もプロセス開発もモノづくりも一緒でしたが)、大正製薬株式会社へ移籍し(本人はスカウトされた?と思っているのですが)、薬の「く」の字もわからない男が薬のモノづくりの責任者となりました。(私感ですが、大正製薬からは旧いモノづくりを変えたいという意気込みを感じました。)皆さんは新商品のテレビやデジカメがあっという間に1/3の値段になり、設備が直ぐに陳腐化することはご存知だと思いますが、そこには半導体の進化が大きく寄与しています。半導体の世界では、技術変化やコストダウンが激しく、仕事のスピードが早いため、「値上げ」「値段すえおき」という状態を味わったことはありません。一方、薬は命にかかわることでもあり、品質をとても大切にし、同時に規制も厳しく、モノづくりの方法や生産設備を簡単に変えることができないという事情があり、技術進歩に時間がかかり結局、現状を変化させることがとても難しい・・・このように全く異なる2つのカルチャーを経験しました。もちろん、カルチャーの違いから苦労はありました。しかし、技術や製造では優秀なスタッフがいましたから、その考え方を変えるマネジメントが、私の主な仕事でした。
 
 私の世代では、サラリーマン人生の中で別な会社、しかも全く異なる分野の会社を経験することは珍しいことでした。このような異業種での経験や、NECでの子会社づくりの経験など、今日の私の"モノづくり経験"に非常に役に立っています。本文とは少々外れますが、そんな41年間にわたるサラリーマン生活のなかで学んだことは、
 
 (1)30,40才代での仕事がその後の貴君を決める
 (2)モノごとに「好奇心」を「持ち続け」ないといけない
 (3)クサらないこと。必ず組織の中で見ている人がいる
 
 ということです。これは幹部・管理者に是非伝えておきたいことでもあります。
 
 さて、今回、モノづくりのマネジメントに関する著述を始める動機・目的は、主に4つあります。
 
 1つめは、中小企業(500人以下ぐらい)にはモノづくりを担う次代の幹部・管理者とその候補者が極めて少ないという現状です。500人程度の規模の工場だと、1人の幹部・工場長によって、すべて運営できてしまうためです。しかし、このままでは、幹部・管理者の退職や会社の事業拡大の際、困難に直面します。そして、いずれ日本のモノづくりは、モノづくりをマネジメントできる後継者の不足に陥るでしょう。
 
 2つめは、モノづくりについて、実践的な書き物が少ないと感じているためです。モノづくりのマネジメントというと、生産管理とか工程管理とかサプライチェーンとか、比較的概念的な話や著述が多く見受けられます。しかし、日々動いている現場や雑多な人がいる現場では、信じられないような奇妙なことが日夜起こりますし、それを見逃し、ボケーッとしていると不良の山があっという間に出来上がります。しかも、たとえ原因がはっきりしない場合でも、それらをテキパキと捌いていかなければいけません。これまで、このような現場の実情に基づいたビジネス書物を目にする機会がありませんでした。
 
 3つめは、円高という理由だけでなく、開発途上国や東南アジアにモノづくり技術は追いつかれつつ或は既に抜かれている現状です。このままでは「日本のモノづくり」はなくなってしまうでしょう(もちろん雇用も)。ではどうすればよいか?この連載で順次述べます。
 
 4つめは、私的なことですが、私が41年間に得たモノづくりとその技術やノウハウを次世代の幹部・管理者に伝え、少しでも「日本のモノづくり」の役に立てればという熱い思いからです。
 
 それでは、早速、始めることに致しましょう。

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