業界雑感 【2019年6月】

  6月14日86成分264品目の後発医薬品が薬価収載された。このなかで注目されるのは協和発酵キリンの「ネスプ」のバイオ後続品して収載された「ダルベポエチンアルファ」(協和キリンフロンティア) だろう。いわゆるバイオ医薬品のオーソライズド・ジェネリック(AG)なのでバイオセイムということになる。
 厚生労働省が2013年4月に出した「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」では、医薬品全体の数量シェアに占めるジェネリック医薬品の比率を2018年までに60%とする数値目標が定められ、現在は「2020年度末までに80%以上」と改められている。この使用促進策に乗って後発品メーカーは当初順調に業績を伸ばしていたのだったが、AGの登場によりブレーキがかけられる形になった。使用促進策が医療機関や処方箋薬局に浸透してきている中で、先発薬と原薬も製法も全く同じというAGが発売されれば、先発薬から切り替えることに躊躇する理由はなくなる。先発メーカーにとってみれば、特許切れ後に80%が後発薬に置き換わることを思えば、価格が半分になったとしても後発薬としてのシェアの60%前後をAGで維持することができる。これはサプライチェーンの立場から見ると、長期収載品としてのシェアが20%になっても、残り80%のうちの60%が残ればシェアとしては48%。特許切れ前の7割近くの物量は維持できるわけで、安定供給の確保いう観点で原末購入量や生産物量の激減が避けられるし、製造原価もある程度維持できるといった点でもメリットは大きい。

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