【EU GMPガイドライン 改訂版発出!】ASTROM通信<58号>
株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。
本稿は【2014.09.15】に発行されたものです。記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー
こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。
さわやかなお天気が続いていますが、いかがお過ごしですか?
さて、2014年8月13日、PIC/S GMP ガイドラインと深い関係のあるEU GMP ガイドラインのいくつかの章の改訂版が発出されました。
1)Part1
3章 建物及び設備
5章 製造
8章 苦情、品質欠陥及び製品回収
※2015年3月1日施行です。
2)Part2 出発原料として使用される原薬に関する基本的要求
※2014年9月1日施行済です。
ご存知の通り、PIC/S GMP ガイドラインは、EU GMP ガイドラインが改訂されると、それに追随して改訂されます。従って、今回のEU GMP ガイドラインの改訂版は、いずれ、PIC/S GMP ガイドラインにも反映されることになります。
そこで、今後PIC/S GMP ガイドラインがどう改訂されるかを知っておくために、今回は、EU GMPガイドライン Part1の改訂版の内容を確認していきたいと思います。
たどたどしい直訳が長く続きますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
出典:
EU GMP ガイドライン Part1 3章
http://ec.europa.eu/health/files/eudralex/vol-4/2014-08_gmp_chap3.pdf
EU GMP ガイドライン Part1 5章
http://ec.europa.eu/health/files/eudralex/vol-4/2014-08_gmp_chap5.pdf
EU GMP ガイドライン Part1 8章
http://ec.europa.eu/health/files/eudralex/vol-4/2014-08_gmp_chap8.pdf
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EU GMP ガイドライン Part1 3章 建物及び設備
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3章は、3.6の交差汚染の予防に関する記述以外、変更されていません。
改訂前のガイドラインは、重篤な医学的危害のリスクを最小限にするため、専用の自己封じ込め式設備の使用を挙げています。
一方、改訂後のガイドラインには、交差汚染を製造設備の適切な設計と運用により防ぐこと、その手段は、品質リスクマネジメントの原則に従い、リスクに応じた手段を講じる必要があることが書かれています。そして、交差汚染のリスクが存在するのであれば、専用設備の使用を求めています。
【考察】設備にもリスクベースドアプローチの考え方が求められています。
交差汚染のリスクが存在すれば、専用設備の使用が求められていますので、逆に
言うと、専用設備を使用せずに複数の薬を製造する場合は、交差汚染のリスクが
ないことを評価し、文書に残しておく必要があります。
ヨーロッパに輸出をしている日本の製薬会社様で、工場内の原料の移動経路や、
区分保管の方法に関して、交差汚染のリスクを指摘されたケースがあると聞きま
した。
ヨーロッパは交差汚染の管理に厳しいと思われますので、今回、EU GMP ガイ
ドラインに交差汚染の記述が追加されたことも考えると、日本の製薬会社様も、
交差汚染の管理強化が必要になるのではないでしょうか。
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