業界雑感 【2018年12月】

 武田薬品工業のアイルランド製薬大手シャイアーの買収が決まった。臨時株主総会では、創業家や武田OBなど一部の反対もあったようだが、議決権の約9割の賛成で承認を得て、売上高世界8位の日本発のメガファーマが誕生することが決まったという。「日本初のメガファーマを少なくとも2-3社」とした2002年(平成14年)の「医薬品産業ビジョン」発表から16年が経過し、ようやく1社がそこに到達したというわけである。
 私事で恐縮だが、この16年を自分史と重ね合わせてみると、2002年当時は藤沢薬品工業の生産本部で戦略企画を担当していた。その時のメインテーマが工場分社であった。工場分社化というと、その目的は労務費の削減であろうといまだに言われるのだが、それは手段の一つにすぎず、本当の目的は医薬品工場の競争力を強化し親会社に頼らずとも生き残っていける体質をつくっていくことだと信じていた。そんな中で発出された「医薬品産業ビジョン」であり、激動の予感はあるものの日本の大手メーカー3~4社が合併でもしないかぎり世界Top10には到達しないレベルだったので、さほど現実味のある話とも受け取らず、足元の分社化を推進していた。ひょっとして、と思い始めたのが工場分社を2003年10月に終わらせ、一息つく間もなく山之内製薬との合併が発表されてからである。アステラス製薬への合併は2005年4月に実現するのだが、その後第一三共、大日本住友、田辺三菱と次々に大手メーカーの合併が発表され、この調子で合従連衡が進めば、2010年くらいには本当に日本初のメガファーマが誕生するような勢いだった。

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