注射剤の不溶性異物の製品回収について一考察
8月20日にある会社が注射剤の液中異物(未開封)苦情から、15製品、約100ロットの製品回収がありました。
https://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=2-12447
これについていろいろな視点で考察しました。
限られた情報の中での考察ですので、間違いは多々あるかもしれませんが、注射剤の異物苦情が来たときの参考になると思い、述べさせていただきます。
ご意見、異論歓迎です。
出荷時期は下記です。
2023年01月12日~2025年05月20日
⇒つまり、約2年半、製造工程の問題を発見できなかったことになります。
かつ約100ロットです。製造とQCの検査では気付かなかったことになります。
製造現場とQCは人の目で何本/ロット見ていたのでしょうか?
製造は全自動異物検査機を利用されているものと思います。
回収理由;2025年8月20日回収開始
トブラシン注90mgにおいて、医療機関より未開封のアンプルに黒色異物が混入しているという情報を受け、原因究明を実施したところ、製造に関与する機器が破損し、混入していたことが判明しました。そのため、同様の製造ラインで製造した一部のアンプル製剤について、異物(フッ素ゴム)混入の可能性を否定できないため、自主回収いたします。
(https://www.info.pmda.go.jp/rgo/MainServlet?recallno=2-12447 より引用、太字は筆者による)
⇒医療現場から不溶性異物の苦情があった場合、広がりを確認します。
回収の通知には、保存サンプルを確認することになります。
苦情ロットの保存サンプルに不溶性異物で検査で不適合になるような大きさの異物はない、かつ製造現場で不溶性異物に関する逸脱など起きていなければ、製品の回収はしません。
ところが回収です。
考えられることは2つ。
①保存サンプルにあった。
②QC長、QA長&品責が注射剤の不溶性異物に関する正しい知識不足のため、過剰に反応した。
①の場合は見逃しです。
次にやることは、同じ製品の他のロットは?
さらに同じラインの他の製品は?
保存サンプルを確認してもしあれば、広がりを否定できないことになり、他のロット&そのラインで製造した他の製品回収になります。
できれば、異物用の保存サンプルは製造工程での良品を再度QCが見て「不溶性異物なし」を確認して保管しておく必要があります。
つまり回収リスクを避けるために行います。
そこでなければ、回収したとしても該当ロットだけになるからです。
15製品かつ2年半のロットに及んでいるということは、保存サンプルで他のロット他の製品で見つかった可能性があります。
そうすると気になるのはラインの不溶性異物の検出力とQC検査者の検出力がどうなっているかです。
注射剤の不溶性異物はQCの検査で保証しているのではなく、製造工程で保証しています。
そのためには製造現場で下記を行う必要があります。
①異物不良率が増えていないか?
②不良品をある一定数現場で確認し、通常と違う異物がないか?
製造現場とQCの目視での検査員の客観的な評価と一定基準以上の検出能力が必要です。
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