再生医療等製品の品質保証についての雑感【第81回】
第81回:細胞製造の品質マネジメントシステム (11)
~ 製造環境(構造設備)の設計で大事なもの (5) ~
はじめに
本稿では、引き続き、設計適格性評価(DQ)のお話しをします。前回、DQとは、実質上、予測的バリデーションそのものであると言いました。では、どのような手順で、何を目標にDQを実施すれば、予測的バリデーションを達成できるのでしょうか。
● あらためて、DQの構成と役割を確認します
本稿を読む方にとっては当然の知識だと思いますが、適格性評価は、DQにより適格性評価を有する設計に対し、据付時適格性評価(IQ)、運転適格性評価(OQ)、および性能適格性評価(PQ)を実施することで、製造工程の妥当性を支持します。それぞれの定義は、当該の機器・設備について、IQが、「仕様」通りに設置されていることの確認(起動試験)、OQが「仕様」通りに性能を発揮することの確認(無負荷試験)、PQが「仕様」通りに実際の使用状況で再現よく機能することの確認(有負荷試験)です。これらの達成すべき「仕様」が、それぞれ、設計仕様、機能仕様、要求仕様と呼ばれ、各々の仕様決定がDQと定義されます。すなわち、IQ、OQおよびPQは、仕様通りに構造設備が準備できていることを確認(評価)するのみで、DQが製造工程開発における活動の主体となります。
DQの仕様は、ユーザー要求仕様から順に分解構築されます。すなわち、ユーザー要求仕様から、製造の全工程を考慮し、各々の工程作業で使用する必要な数量の区域(直接/間接)および設備・機器を抽出し、「要求仕様」を決定します。次に、要求仕様で定められた設備・機器の諸元を抽出し、「機能仕様」を決定します。最後に、要求した区域および設備・機器を最適化して配置し、「設計仕様」を決定します。設計仕様は、構造設備の建設における図面と同じものとなります。
実際のIQ、OQおよびPQでは、IQが、図面通りの据え付けや電源投入による起動確認、OQが、設備の運転状態を確認します。ここで、空調などの「環境設備」については、非稼働状態(at rest)の環境維持プロセスとしてシステムを確認することで、設備全体の適格性を評価できます。他方、細胞加工の作業を実施する「製造設備」においては、炭酸ガスインキュベータや遠心分離機等、個々の適格性評価が実施されるのみで、必ずしもプロセスとして作業の適格性が評価できるDQではないと認識します。
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