GMP製造現場ワンポイントアドバイス【08】

FDA査察官の15秒ルール

■本稿の読み方
筆者が医薬品製造・品質の現場で経験してきたことをベースに、現場で頑張る皆さんのお役に立ちそうなポイントをまとめていきます。一部事例も含めますが、創作も含めて一般化しています。あくまで一例としてとらえ、自社運用に照らし合わせて考えるきっかけとなると嬉しいです。
おおよそ月に1回のペースで掲載していきますので、ぜひ、隣の席の方、グループ、チームメンバーで読み合わせ、継続的改善に繋がるディスカッションのネタとしてご利用ください。


 クオリティーカルチャーは、元々あります

 創業者の思いは、凄いと、ある会社の社歴の本を読み返した。戦後の困難に外国から医薬品を輸入する商社を少人数で始め、安く良い薬を国産(自前)で作りたい。国民の健康ために薬で復興の一助になりたい。初代社長は企業三原則を唱えた。人間性の追求・社会性の追求・経済性の追求(のちに国際性の追求を追加)。起業の思い(思いの源)こそ、クオリティーカルチャーですね。※売上至上じゃ、ダメ

 コンプライアンス違反

 ある営業所の昔の話です。免停なのに、事務所前の営業車を移動したところ警察に見つかりました。当然、懲戒処分になりました。また、全事業所に知れ渡る事となりました。
※年末年始、コンプライアンス違反に気をつけてください。

 原料の使用期間

 原材料の試験による使用期間について一例を紹介します。資材は、試験1回に対し1年有効としました。原料ですが、入荷試験後有効1年。切れる前に試験有効1年です。その後は、使用直前に試験(有効半年)、速やかに使用を基本とします。初回の一年は、PL法に基づきます。以後は、棚損し環境ルールに基づき廃棄処理します。(マニフェスト必須)
※珍しい例:化粧品原料3年、医療機器5年という会社もあります。

 CR/ASフィルター交換時期

 一般的な清掃方法や交換期間を業者(メーカー)は、納入時指定しているが守っていない製造所が目立ちます。それは、防虫業者の指定する管理を無視して、コストカットする例と同じです。プレフィルター毎週吸引して、プレフィルター・HEPA毎年更新です。HEPAやプレフィルターを私が見つける時まで6年もノーメンテで、リターン設備を壊す製造所がありました。そんな会社なので、ドレンがまわった圧空配管も発見。みなさんの製造所は大丈夫ですか?水と空気は、監査のポイントです。

 ボルト・ナットを見る(設備管理)

 監査時、現場ツアーで設備管理の意識レベルを見分けるポイントを紹介します。

  1. 設備回りの油・埃の汚れ具合
  2. 洗浄室のブラシ・スポンジの劣化具合
  3. 締め緩めの頻度の高いボルト・ナットが擦れて黒紛化(ガタツキ)の劣化具合
  4. 工具の置き方(管理状況)
  5. 床にある電源コード(断線危険・埃の除去など)
  6. テープなどの応急処置(応急の常態化)
  7. 照明が切れている(一番レベルがわかる)

 ※ボルト・ナットは、締めればいいだけじゃダメ交換する管理が大切です。
 ※設備維持に対してケチか?ムチを見分けます。

 掲示物より言葉で

 調査員は限られた訪問時間に、製造所を評価します。瞬時に見分ける方法を紹介します。それは一体感(コミュニケーション)を感じる感性です。お邪魔したときの社員の明るさです。社員が明るいのは離職率とイコールです。その時、掲示物(お達し)の多さも意思疎通に問題あるとわかります。旅に出て、宿に泊まったのと同じです。人を迎える風土は、顧客満足度の評価ポイント重要要件です。※タクシー運転手や宿泊先などから情報とれます。

 

 

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