ゼロベースからの化粧品の品質管理【第48回】
―化粧品用原料に関するEffCI GMP認証制度について―
化粧品GMPに関して、実際の運用面から留意事項についてお話させて頂いています。
化粧品の品質管理における重要な課題の一つは、原料供給者の選定と管理です。今回は、製品の品質に直接影響を及ぼす原料の調達先の管理に関連する事項として、EUで要求されているEffCI GMP認証制度についてご説明いたします。
化粧品の製造プロセスには多くの供給者や委託業者が関与し、それらは製品の品質やコストに深く関わります。特に、化粧品の原料や容器などの資材は直接的に製品品質に影響を及ぼすばかりでなく、企業のマネジメントシステム外で行われるため品質管理が難しい側面があります。このため、化粧品GMP(ISO 22716)では、外部システムの利用時における評価と品質管理の確保について具体的に規定されています。
具体的には、6.2項の「購入-供給者の評価及び選定」および12項の「委託」では、外部のサプライヤーや委託業者の選定プロセスとその後の品質管理が要求されています。特に原料については、その品質が製品の最終品質に大きく影響するため、誤った原料の使用は重大な品質問題や安全上のリスクを引き起こす可能性があり、特に注意が必要です。
今回お話するEffCI GMP認証制度は、EUにおいて原料メーカーが遵守すべき基準で、化粧品製造業者が安全で品質の高い原料を選定する際の有益なガイドとなります。この制度を理解し、実践することで、原料の質の確保につながり、化粧品の製品の安全性向上に貢献します。
化粧品GMPの枠組みの中で、原料供給者の管理と選定は特に重要です。適切な品質管理と規格遵守を通じて、消費者に安心して使用できる製品を提供するための基盤を確立することが重要です。更に、化粧品の製造所ではISO 9001とISO 22716の双方の要求事項を満たす統合的な管理体制を構築することが推奨されており、この要求に対しても、EffCI GMPの理解は製品の品質と安全性を一貫して高める体制作りにも参考となる情報です。
EFFCI(European Federation for Cosmetic Ingredients)は、化粧品原料の製造業者や供給業者のヨーロッパ連盟です。EFFCI GMPは、この連盟が業界のベストプラクティスとして推奨する規格で、品質管理や安全性確保のためのガイドラインが示されています。
先ず、このガイドラインでは化粧品業界で使用される原料の製造過程が安全で品質が高いものであることを確保するためにISO9001の要求事項を満たした上でGMPの要求事項を満たすように、GMPの要求事項が付加された規格になっています。
以下、EFFCI GMPの主な規制内容について説明します。
① 品質管理システムの確立と維持:
●このシステムは、製造の各段階での品質管理、品質保証、品質管理文書の作成と保管、および品質へのコミットメントが要求されています。
② 施設と設備の管理:
●具体的には、定期的な清掃とメンテナンススケジュールを策定し、施設の清潔さと設備の機能性を維持する体制を整えることが必要です。清潔な状態を維持するための清掃手順や使用する清掃剤について文書し、徹底しなければなりません。
③ 原料の品質管理:
●更に、原料の受け入れ検査と品質評価が行われ、適合しない原料は使用されないようにする体制となっていることが求められています。
④ 製造プロセスの管理:
●製造工程については、工程中におけるリスク管理と品質コントロールが行われていること、適切な製造記録が作成されていることが必要です。製造中の品質コントロールでは、適切な検査やテストが実施され、製品の仕様に適合していることを確実にしていることが必要です。
⑤ 記録の保管とトレーサビリティ:
●製造プロセス全体に対する詳細な記録作成し、それを保管し、製品のトレーサビリティが確保されていることが必要です。
●製造記録と品質管理文書は、必要に応じて容易にアクセスできるように整理され、保存されていることが必要です。
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