製薬企業における設備保全の今後のあり方についてGMP視点から考える(5)

 今回は、「経営視点から見ての保全業務」についての確認である。医薬品業界では、製造設備も研究設備も建物の中に納められていることから、設備保全の考え方も、建物の維持管理や建物に組み込まれた設備管理の総合的な維持管理を示す"ファシリティマネジメント"に馴染みがある方も多いと思われる。その見方をも含めて「経営と設備管理の関係」を確認しながら、経営視点と現場視点の双方からの設備保全への取り組みの両立が、今や必須であることに気付いてもらいたい。
 
1.経営活動・事業活動の中での「統合生産保全」活動の対象
 生産システムにおける設備では、1)プラントと称される生産機器・機械としての設備と、2)土地、建物、建物内のプラント設備や人の活動を助ける空調・照明・電気・通信・上下水道・移動用などの各種設備の2つに大別される。後者の設備を"施設"と呼んで、その管理や運営に関する分野を、通常"ファシリティマネジメント(FM)分野"と呼んでいる。
 
 図1として、"ファシリティマネジメント分野"をさらに広い意味で捉えている図を示す。前述の1)項と2)項を合わせて生産施設全体を管理・運営する業務を対象と捉えて、"ファシリティマネジメント"業務としたものである。
 
図1:広義のファシリティマネジマントから見ての「統合生産保全」の対象
 
 経営的視点からすると、この施設と設備を総合的に捉える広義の"ファシリティマネジメント"の概念で、生産活動に関わる設備においてどのような業務が発生するかを検証するとわかり易いと思わる。"ファシリティマネジメント"(FM)は、"事業用施設が目的機能を発揮するためのマネジメント"と定義できる。図では、生産設備に着目しての経営的視点からの業務事項を書き出したものである。
 
 第3回での「生産保全」や「統合生産保全」で説明してきたように、設備保全業務は、設備運営・維持のステージのみでの業務ではなく、設備投資戦略や計画のステージから故障を最小とする保全性を高めるなどの視点を加味し、かつ高品質製品を生み出せる経済性に優れた設備として行くことが求められている。従って、設備建設過程や設備増強過程のステージでも保全視点を加味しての機器・機械選択が求められ、設備稼働準備ステージでも環境対策や安全対策も含めての性能評価が必要となっている。
 
 経営視点から生産機能に着目して、"新規設備投資のPDCA"を4つの設備ライフサイクルのステージに重ねたのが、図2の左の矢印で結んだ流れである。また、"保全活動に関するPDCA"を4つのステージに重ねたのが右の矢印で結ばれた流れになる。従って、中期経営計画での戦略的な検討と方針の打出し時点や、年毎の予算化を伴う実行計画などの時点でも、保全視点からの検証を加味することで、実際の設備運営維持ステージの総合的な効果発揮に大きな影響があると考えられる。この発想視点に立っての活動が、戦略検討や年度計画に参加する経営幹部やスタッフが求められている。

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