エッセイ:エイジング話【第42回】

蒸留器か膜分離を選ぶには?

 二つから一つを選ぶときの難しさを続けます。蒸留器か膜分離を考えるときに蒸留を2つの単位操作と捉えると、液相から気相へ(蒸発)と気相から液相へ(凝縮)に分けられます。
 ただ、蒸発・凝縮により不純物分離するメカニズムに飽き足らず、日本の代表的製薬会社の人は、もう1つ大事な操作を加え独特な製造方式を確立しました。
 ここで言う、もう1つの操作とは、ろ過であり膜分離です。ここに採用された膜モジュール操作は、1st-step では逆浸透であり、2nd-step では限外ろ過でした。逆浸透操作もしくは限外ろ過操作を使うと、WFI中に含まれてはならないエンドトキシンを確実に分離できます。
 結果として、3つ目の操作は安全装置でした。社長が会社の日常指揮をとっても、何かあった時には会長が控えているしくみに似ていると思いました。
 この考え方も王道であり①異物除去操作②水質維持操作を、役割として分離する考え方なのです。そもそも、これは蒸留と膜分離が有する特性が異なることに由来します。
 ところが業界全体では蒸留に対して厚い信頼がありました。併せて現場の人は不安な兆しも内在することを感覚として認識しつつありました。
 筆者も、この現場感覚を若い頃から先輩に叩き込まれました。あの頃は、少々生意気な後輩を強い口調で窘めても、決してパワハラにならない懐かしき時代であり机上の意見など100年早いと相手にされなかったのです。
 また、世界的にも蒸留か膜分離かという二択では、規制当局と現場感覚のギャップも続きました。FDA(米国食品薬務局)からは、プラスッチク膜を使うWFI製造に対して、しばしば懐疑的な発言が続きました。
 特に日本において、UF膜モジュールをファイナル装置として、WFI水質をクリアできる日本薬局方の収載内容へは、不思議でならなかったようなのです。
 この象徴的な例として1991年の出来事ですが、米国の大学でのワークショップでFDA職員による講演内容が日本の雑誌でも紹介されました。
 


 少し解説すると、外国の施設とは日本施設でありこのFDA職員が認識するUFは、米国でROの前処理に良く使う日本ではMFのことを言及しているのだと推測します。また、プラスチック材に対する溶出懸念はあるが、ここまで「ステンレススチール材への信頼は厚い」と認識しておりました。

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