ゼロベースからの化粧品の品質管理【第21回】

化粧品GMP手順書の作り方 ⑤生産 1)製造作業(2/2)


 化粧品の品質保証体制についてGMPの要求の解説を中心としつつも少し脱線しながらお話させて頂いています。GMPと言うと、とかく試験室管理、環境を中心とする衛生管理に目が行きがちですが、製造所のミッションはモノ作りですので,確実なモノ作り管理体制が重要です。前回と今回はこのモノ作りの管理体制の中で、実務面における留意点についてお話させて頂いています。そのためGMPの要求事項の解説の部分からは少しますが、実践的な事項まで踏み込んで考えてみたいと思います。今回は、仕込み作業以降の関連業務についてお話します。

1.仕込み・調整作業
 ①最近はバーコードシステムを使い、ヒトと機械とのダブルチェックの管理体制となっているケースが多いと
  思いますが、第三者に対して以下の事項が確実に行われていることを説明できることが必要です。
 ②「製造作業指図書」で規定されている工程順に従い、指定された量を仕込むこと
 ③「製造作業指図書」と「秤量記録」に記載された原料コード、原料名称及び秤量値と現物が一致していることを
  照合すること 
 ④製造する設備、機器は適格性が確保されていること、衛生的であることを確認した後に仕込み作業が行われ
  ること
 ⑤使用設備・機器や調合条件(温度、混合時間・速度)は、「製造作業指図書」により指示され、作業は指示内容
  と注意事項等に従って制御・調整が行われ工程が進められること。また、その作業の実際の状況が記録され
  ていること
 ⑥すべての仕込み・調整作業が終了した後には、仕込み・調整作業が問題なく行われたことがレビューされて
  いること
が必要になります。

 これらの一連の作業は、作業指示の内容に基づき確実に作業が行われたことがトレースできることが重要です。例えば、“10分間攪拌”と指示がされている場合には、“10分間、レ点”、ではなく、“11:11~11:22(11分間)”というような実際の記録や、ストップウォッチで攪拌時間を管理しているならば、“開始時間 11:11”等の記録をすることが信頼性の面から必要です。現実的には、作業後に記憶で書かれていると思わざるを得ないような筆跡の記録書も良く目にします。
 

2.工程管理
 ①それぞれの工程が確実に行われたことを工程中に確認すること。例えば、水相、油相の仕込みが終わったら
  液面を測定すること、比重や屈折率を測定することが考えられます。
 ②サンプリングをする場合には、交差汚染を起こさないよう指定された手順でおこなうこと。また、サンプ
  リングのタイミングやサンプリング箇所は、事前に均質性が確保されている状態であることを把握されて
  いることが必要です。
 ③測定値及び検査の確認結果が範囲を外れた場合には、逸脱管理の手順に従い対応することになります。
  その場合には、仕込み・調整作業を中止し、製造部門の責任者及び品質部門に報告し、「逸脱手順書」に従い
  処理することになりますが、製品品質への影響がないことが予め明らかになっている場合の逸脱には
  製造部門で判断し、品質部門への報告は充填作業や収容作業までに行う手順になります。
  逸脱管理において全ての逸脱事項を品質部門が判断する手順とすることは実態に合っていないこととと
  逆に、現場レベルで判断するだけで記録書に記録されていないケースが多いのことには注意が必要です。

 

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