新・医薬品品質保証こぼれ話【第2話】

製造方法記載の合理化

承認書と製造実態の齟齬による自主回収やそれに伴う業務停止などにより、医薬品不足が長期化する中、未だ決め手となる改善策が見えないのが現状と推察します。この状況の中、4月20日(2022年)、東京ビッグサイトで開催された「国際医薬品開発展2022」において厚生労働省医薬・生活衛生局の吉田審査管理課長より示された、“製造販売承認書への製造方法の記載内容の合理化”の動きは、この問題の根本的な解決策の一つとして期待されます。“科学的根拠”、或いは“品質への影響”といったことを重視した上で、製造方法の記載を簡略化することが少しでも許容されることにより、品質を担保した上、承認書と製造記録の齟齬の発生が抑止され、その結果、回収や業務停止が減少し、ひいては安定供給の確保につながると考えられます。また、このことは、承認事項の変更を伴う変更管理や薬事手続きに係る業務の削減にもつながることから、早期の成果が期待されます。

GMPは“規制と科学”の二つの要素により構成され、この二つが目指すゴールは共に医薬品の品質確保および生産の安定であり、本来、両者は相矛盾するものではないはずであり、また、矛盾があってはならないものです。しかし残念ながら、ここ数年の回収や業務停止の事案の多くは、製薬工場における“製造行為”、或いは“品質管理”の問題により生じた“規制(承認書)と科学(製造実態)”の齟齬(矛盾)に拠っています。ただ、この問題は繰り返し述べてきているように、一に製造所(企業側)の製造・品質管理(GMP)の対応に原因を求めると解決の糸口が見出せず、様々な問題が複雑に絡みあって生じていることを理解し、その上で、ケースに応じて適切に判断することが求められます。この点において、今回、示された“承認書における製造方法の記載の合理化”は、重要な意味を持つものと解されます。

現在、特に後発医薬品の安定供給確保に向けて行われている検討・対策としては、“品目ごとの供給可能数量の把握と共有”、“過剰在庫の確保の防止”、“回収基準の見直し”などがありますが、承認書における製造方法欄の記載の合理化は、上述のように、より根本的な対策となる可能性があり期待されます。ただ、“合理的な記載”のルール(指針)を具体的に定めることは簡単ではないと思われます。基本的な考え方としては、“品質確保に差し支えのない範囲内での融通の利く記載”といったところでしょうか。ここで、“融通の利く”というのは、実際の製造作業において生じがちな、所期品質を確保するために必要となる僅かな条件変更などへの配慮を意味します。「日本薬局方製剤総則、錠剤の製法による」などは論外としても、“品質への影響に関する科学的なデータ・根拠”を前提に、可能な限り簡略に記載するという考え方を基に記載方法を整理することにより、先が見えてくるのではないでしょうか。
 

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