ゼロベースからの化粧品の品質管理【第20回】

 化粧品の品質保証体制について、GMPの要求の解説を中心にお話させて頂いています。GMPと言うと直ぐに試験室管理、環境を中心とする衛生管理に目が行きがちです。しかし、製造所のミッションはモノ作りです。そのことを考えると、今回の1)製造作業に関する留意事項は、製造所における品質保証の肝になります。そこで、今回は、GMPの要求事項の解説に止まらず、少し実務的な事項まで踏み込んで2回に分けて考えてみたいと思います。
 本題に入る前に、ISO9001:2015の審査を通して感じていることを最初にお話します。これは全てのISOに通じる話と考える事項です。皆さんが良く言われるように、ISOも慣れてくると、組織等の改定に伴う手順書の改定や記録書類の記載モレのチェック、更には、維持審査で指摘される追加項目への対応のみにマンパワーが注がれがちになります。その結果、ISOは厄介なお荷物と言わざるを得ない状況となってしまいます。しかしながら、私はこれらの書類整理、管理の事項は優先順位を下げても良いのではないかと感じています。
 このような話をすると、審査員がやるべき事項を理解していないとお叱りを受けそうですが、会社の成長や収益性向上に結びつけるために必要な体制や仕組みがISOの目的ですので、会社の成長に関する事項にもっとフォーカスしても良いのではないかと思います。具体的には、トラブルが発生している事実に対してしっかりと向き合うことだけで良いのではないでしょうか? トラブルの原因をうっかりミスや勘違い、人や教育の不備として納めてしまうのではなく、発生した原因の背景にある体制の不備を是正すること、それを検出されずに流出してしまった体制の不備を是正すること、この事に注力するだけで十分ではないかと考えます。その際に、ISOの要求事項のどこが上手く機能していなかったかを考えること、この事が重要です。この対応をすることで会社としても損失コストを抑えることができますし、無駄な出戻り作業がなくなり生産が安定した状態にシフトしていきます。これが本来のISOの体制作りではないかと考えます。
 GMPでも逸脱管理で文章化が求められています。その際に機械的に書類を埋めるのではなく、関係者が直ぐ集まって“何が問題だったのか?”と色々な側面から体制の不備をその場で考えること、その後に担当者がその記録を残すだけで十分です。このやり方だけでは真因には至らないかもしれません。しかし、色々な人がそれぞれの立場で考えることが重要と考えます。特に、若い方にとっては書類を書くことは大変な苦痛作業です。その後に上司が赤ペンを入れて返すので、書類作成だけに時間が掛かるだけで大きな価値は生みません。先ずは目の前に起きていることにフォーカスして体制の不備を関係者の知恵で直ぐに是正する。その際に、GMPの要求事項でどこが抜けていたのかを考えれば言い訳です。少し長くなりましたが、枝葉末節の要求事項対応に時間を掛け、ISO維持に疑問を持たれている会社が多いように感じておられるようですので、気になっていましたので先にお話させて頂きました。これは、製造所の肝になる事項です。

1.製造作業手順書で規定すべき事項
 製造作業と言うと、原料の受入れ、識別表示、倉庫管理、入出庫管理や製造設備、製造に関する衛生管理までと幅広い事項になります。これらは製造管理基準書の中では全て明確にすべきですが、今回は原料の秤量、バルク製造、バルク保管に関する作業の中で作業プロセスに基づき明記すべき次の事項について限定して説明します。
 (1) 製造作業担当者 (2) 秤量作業 (3) 配合作業 
 (4) 製造作業指図書および記録書 (5) 洗浄、殺菌作業
 ここでは、触れませんが有資格者の認識、例えば、バルク製造におけるサンプリングを委託されている場合には、どのように教育と任命がされるのか? 更に、サンプリングについても、サンプリングはそのバルクを代表するものであるべきですから、当然のことながら、取り出し直後が微生物汚染のリスクが最も高いサンプルですし、取り出しの終わりは撹拌シェア履歴の最も多いサンプルになります。この点に関しては、本来は初回3ロットの均質性の確認結果や類似処方の実績を踏まえて、サンプル数を1点だけにするのか? 3点を取って確認するのか? ロジカルに自社内のルールを決める必要があります。理想論的には、取り出し直後と終わりでバラツキがないことが均質性の論点からは必要ですが、現実は全く同じと言えないのが現実です。この事に対して説明できる根拠がなくサンプリングが行われているケースがあり気になる点です。
 

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