FDA査察の準備【第1回】

※元FDA査察官のレビューに基づき、加筆修正をしました(2017.01.24)

はじめに
工場査察はFDA, EDQM及び他の規制当局が企業と接触する主な方法のひとつである。 通常、規制当局は工場のGMP 適合性を評価するとともに、製造記録のためおよび医薬品の承認申請に用いられる時のデータのデータインテグリティをチェックする。このような相互活動の準備を周到に準備すればするほど、関与施設と会社に対する査察がより実用的な方向に導かれていく。順調な査察により自信がつき、規制機関、患者、客先に信頼性を持たせることにも繋がる。CMOにとっては、成功した査察履歴は客先とのビジネスに明確な影響がある。
 
この記事は、FDAの海外査察のプロセスを紹介すると主に、工場が査察の準備を行うときの注意事項を助言することを目的としている。
 
FDA (The US Food and Drug Administration)は1955年より、連邦食品・医薬品法に基づいて海外査察を実施し始めた。2012年には、FDA安全及びイノベーション法が米国議会を通過した。FDA安全及びイノベーション法は、規制当局が米国に医薬品を輸出する海外施設に対して、米国国内施設と同じ頻度で査察することを要求するものである。議会がこのような決定を下す理由として、米国で使用されている医薬品の製造に使う原薬のうち、80%は海外から輸入したものであることが考えられる。また、米国の国民が毎日服用している医薬品の40%近くが米国以外の国で製造されたものである。世界の主要な医薬品輸出業者のうち、2社がインドと中国に所在し、且つそれぞれFDAに約500の医薬品製造工場を登録している。(出典:Consumer Report,  2014年4月25日)。中国とインドの工場に対して、より多く且つタイムリーに査察を実施するために、FDAは中国政府とインド政府と協力し現地駐在査察官を増員している。しかしながら、中国とインドの工場を含め、海外工場に対する査察の多くは今なお、米国から派遣された査察官により実施されている。
 
「海外査察及び出張の指針(The Guide to International Inspections and Travel)」はFDA職員に標準的な作業、査察、調査手順書を規定している。このガイドは FDAのウェブサイト(http://www.fda.gov/ICECI/Inspections/ForeignInspections)で入手でき、且つ、調査員とアナリストの海外査察を支援するために、規制機関、目的、責任、方針、説明、参考資料などの関連情報を含めている。

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