再生医療系若手技術者のための製造文書作成術【第5回】

「日本語の読み書きはできますか?」

 本稿は、これから再生医療に関わる若手技術者の方に向けた、製造文書を書くための具体的・実践的なTipsになっています。初心者の方は勿論ですが、今現在作成に携わっておられる若手の方なら、最後のポイントをチェックしてみるだけでも役に立つように心がけました。
 第5回となる今回は、前回のコンテクストの話に続き、日本語そのものの話をもう少し。というのも「SOPがどうも書けない」「書くのが苦手」という若手の方の話を実際に聞くことができる機会があったのですが、聞くうちに「ちょっと話が違うのではないか…」というケースが散見されたからです。少々厳しい結論ですが、今回「これはSOPの書き方の問題ではないので、除外します」というラインを引いておかないといけません。

【日本語が「読めない」「書けない」方々】
 2019年に東洋経済新報社から出版された『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本をご記憶の方は多いと思います。同年のビジネス書大賞も受賞しましたし、すでに続編『AIに負けない子どもを育てる』が出版されたことからもわかるよう、一定の話題になった書籍です。内容についてはググればすぐ調べることができる上、タイトルだけでもなんの話をしている本か、なんとなくわかる秀逸なものなので割愛しますが、今回のコラムで述べておくべきは、本邦の教育システムの話なんかではありません。
・日本語が読めない問題は、別に子どもに限った話ではない
・日本語が読めない問題は、AIに負けるかどうかの話でもない
 という2点の現実です。
 日本語が読めない方には、確かに業務の中でお目にかかります。そして読めていない場合、SOPに限らずまともに書くことはできません。断言しますが、読めない方は、書くこともできないのです。AIと勝負するまでもなく、今現在の仕事が問題です。この件についてはそんなはずないだろうといくらもがいてもしょうがなく、おそらく多くの方が、メールをもらっても「なに言ってるんだかわからん」と思ってしまう相手について覚えがあると思います。主語がない、5W1(2)Hが不足している、推論と確定情報が混じる、といった「情報伝達」において瑕疵のある文章を書く方は、実はけして少なくありません。
 そして正直に申し上げれば、三十代以降の人材においてこの問題が露呈した場合、企業や教育訓練担当の人が解決することは困難を極めます。普通に考えて、今まで学校に行き、就職して仕事をしながらも読み書きできなかった日本語が、もはや若手とは言えない年齢で扱えるようになる道理はないのです。
 したがってここでの結論は、「SOP含め製造文書は、努力で書けるものではなく、書ける人と書けない人がいる」…ということになります。どんな方でも、努力である程度、定型的な文書作成まではできるようになるかもしれませんが、そんな努力なら、本人としては得意分野に振り分けた方が効率が良いでしょうし、上司にしても、できる人間にやらせたほうがずっと話はスムーズです。

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