【解説】GMP調査から読み解く「GMP適合性の本質」【第4回】
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【第4回】
適合性の「深層」に迫る:システム不備の裏に潜む組織的課題
ここまでの連載では、法令の構造やリスクベース査察の全体像を見てきました。
今回、第4回では、実際の調査で指摘される「不備の構造」を4つの重要領域から抽象化し、企業が陥りがちな管理不備を解説します。
1.「点」の管理が招く製販との断絶(変更・逸脱管理)
変更管理(GMP省令第14条)や逸脱管理(GMP省令第15条)において、当局が最も注視しているのは、単なる手順の遵守ではなく「製造販売業者との連携」です。
- 現場での「良かれ」と思った微調整が、実は承認事項(MF含む)に抵触しているケースが多く指摘内容として示されています。
- 製造販売業者の手元にある承認書の意図が製造業者、その現場に伝わっていない、あるいは現場の変更・逸脱が製造販売業者へ適切に届かないというコミュニケーションの脆弱性が、不適合の大きな要因ともなっています。
2.「誠実さ」が問われる(データインテグリティ:DI)
DI(GMP省令第20条)の不備は、単なる記録ミスではなく、組織の「クオリティカルチャー(品質文化)」そのものの欠落として評価されます 。
- 例えば、逼迫した生産計画の中で、記録の後付け(バックデート)や不正確な転記などが常態化しているケースが、GMP適合性調査で露わになっています。
- 現場の不適切な記録運用をQA(品質保証部門)が検知できていない、あるいは「見て見ぬふり」をするマネジメントの姿勢こそが、最も深刻なリスクと見なされています。
3.「最後の砦」の機能不全(試験室管理・安定性モニタリング)
試験室は製品出荷を判定する「ブレーキ」です。
このブレーキが壊れていることが、多くの不正事案に繋がっています。
- OOS(規格外)が発生した際、十分な調査を行わずに「ラボエラー」として処理する、あるいは都合の良い再試験結果で上書きするといった、恣意的な運用が厳しく指摘されています。
- 出荷試験を優先するあまり、市場にある製品の品質を保証する「安定性モニタリング」が大幅に遅延・放置されている事態は、患者への危害拡大防止という薬機法の目的に照らして極めて重い不備となります。
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