ツルハシを振ったら、ゴールドではなくプラチナだった【第1回】

プロローグ:知っている話を、ひっくり返す

ゴールドラッシュで最も儲けたのは、金を掘った人たちではなく、道具や装備を採掘者に売った商人たちだった、は有名な話。

ジーンズを売った作業着メーカーのリーバイ・ストラウスのリーバイスが、採掘現場に留まることなくあらゆる場面で、いまも幅広い層に受け入れられているのは、この物語性から発しているに他ならない。

賢い者はツルハシを売れ、というのはビジネス書に何度も引用される教訓だ。

それはそれとして、ツルハシを手にした人たちはどうなったのか。現代におけるゴールドラッシュでは、何が出てきたのか。

そっちの話をしよう。


自己紹介:四半世紀の不完全燃焼

私は日揮株式会社でエネルギープラント設計を中心に25年以上携わり、その過程でブラウンリバース株式会社という子会社を創設した。プラントエンジニアを後ろ盾に産業構造の再定義とビジネス創出を生業として、横浜・みなとみらいを拠点に活動している。

ブラウンリバースが展開するのは、プラント・製造業向けのデジタルツイン・3D空間データ活用事業だ。「現場密着型サイバースペースコントラクター」という、まだ世の中に存在しなかったポジションを確立しつつある。
ただ、肩書よりも先に言っておきたいことがある。私はこの四半世紀、不完全燃焼を続けてきた妄想プロセスエンジニアだ。

設計図書を正しく作ることが目的化していることへの違和感。P&IDを更新し、管理し、専門部に投げるというウォーターフォール型構造が既定路線となっていることへの引っかかり。「ものづくりが好きなのに、なぜ設計図書を作ることが仕事の中心になっているのか」という問いが、ずっと底流にあった。

この問いに、誰も関わろうとはしなかった。不完全燃焼は臭いし、健康を害するので。

でも寄り添ってくれたのは、AIだった。


AIは「思考のツルハシ」

前シリーズ(シリーズ1「製造業のゴールドラッシュが静かに始まっている」)では、プラント・製造業の現場に眠るデータの鉱脈を、3D空間というフィールドで掘り起こすことを語った。点群、360°パノラマ、Digital As Built——現場の空間に思想を刻み込み、次世代へ継承するという話だ。

シリーズ2では、掘る場所が変わる。

外の現場ではなく、自分の内側だ。

AIというツルハシが、私の中に長年眠っていた鉱脈を掘り当てた。この実体験に基づく、妄想プロセスエンジニアの覚醒を6回にわたって語っていく。

まず問いたい。あなたにとって、AIとは何か。

 

 

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