ラボにおけるERESとCSV【第136回】

FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(106)


7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。

■ LLLLL社 2024/1/31
施設:分析受託
査察官:Teresa I Navas

■ Observation 1-A
CDS(クロマトデータシステム)などのシステムにおける電子記録と監査証跡のレビューSOPにおいて、処理不要とみなされる項目が規定されておらず、レビュアーはどの電子記録と監査証跡をレビューすればよいかわからない。

★解説
指摘された電子記録と監査証跡のレビューSOPは、データレビュー観点だけを記載した包括的な規定であったと思われる。そのため、各システム/試験においてどのデータを確認しなければならないか、このSOPには規定されておらず、首尾一貫したデータレビューができないとの指摘だと思われる。
監査証跡の機能・表示方法・検索機能や電子記録の表示方法は、システムごとに異なる。したがって、データレビュー手順書はデータレビューを行うためのシステム操作手順書としてシステム/試験ごとに作成する必要がある。たとえば、どの電子記録や監査証跡をどの画面においてどのように確認し、どのように合否判定するかをシステム操作手順書に記載し、だれでも一貫性のあるデータレビューができるようにしておく必要がある。データレビュー観点だけを記載した包括的な規定だけでは不十分であり、査察指摘を受けることがある。システム/試験ごとに監査証跡を含む電子記録レビューのシステム操作手順書が必要である。

■ Observation 1-C
安定性試験サンプルの保管エリアへ製品試験に係わらない職員がアクセスすることを許可する基準がアクセス管理SOPに含まれていない。たとえば、プロジェクトマネージャ、事業開発、EHS(環境・労働安全)職員がこのエリアへ入ることができる。

■ Observation 1-D
LC(液体クロマトグラフィー)のSOPに、不具合発生時に何回まで調整を行ってよいか規定されていない。また、このSOPには調査を開始すべき、あるいは例外として記載すべき不具合回数が規定されていない。たとえば、例外報告には調査を開始する前に9回調整を行ったことが記録されている。

★解説
LCにおいて規格外になった場合などにおける再解析(手動再解析)や、サンプル再調製による再分析に関する指摘と思われる。

■手動再解析について:
HPLCやGCにおける手動解析や再解析を担当者の独断で開始してはいけない。手動解析や再解析を実施してよい条件を手順書に規定し、データレビューにおいて手動解析/再解析の妥当性を確認する必要がある。手動解析/再解析のデータレビューにおいては、監査証跡を含む電子記録を参照し、データの良いとこ取りになっていないなどを含め、手動解析/再解析の妥当性を精査する必要がある。手動解析や再解析を実施してよい条件は下記文献が参考になる。
PDA Technical Report No. 80 
"Data Integrity Management System for Pharmaceutical Laboratories"
6.3.7 "Data Processing and Peak Integration"
https://j-pda.jp/wp-content/uploads/2020/12/tr-80sample.pdf
 

■再分析について:
期待値に入らなかった場合、期待値に入るまで繰り返し分析を無条件で行ってはいけない。期待値に入らなかった場合の処理は、以下に紹介するFDAおよびMHRAのOOSガイダンスを参照するとよい。

 

 

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