バイオ医薬品分野における品質保証責任者の独り言【第5回】

第5回:現場が変わればQAは敵にならない――現場が注意すべき7つのポイント

はじめに
 QAが敵に見える理由をQA側の問題として語るのは簡単である。しかし、組織の現実として、QAだけが変わっても関係は劇的には改善しない。現場側の振る舞いが変わらなければ、QAは「止める」以外の選択肢を失い、結果として敵役に固定される。QAを敵にしないためには、現場にも守るべき作法がある。
 最初に断言しておく。QAは現場の仕事を増やすために存在しているのではない。現場が安心して仕事を続けられるように、「説明できる状態」をつくるために存在している。逆に言えば、現場が説明できない状態を放置すれば、QAは必ず止めざるを得なくなる。そこに個人の好き嫌いはない。
 ここでは、現場がQAを敵にしないために注意すべき点を7つに整理する。


1. 「事後報告」をやめ、「早期相談」を癖にする
 ミニケースである。ラインで軽微な逸脱が起きた。現場は「影響はないはずだ」と判断し、工程を進めた。翌日、文書化の段階でQAに伝わり、QAはこう返す。
「その時点で相談があれば、条件付きで進められた可能性がある。今からでは根拠が作れないため、止めざるを得ない」
 このパターンは多い。現場は“早く終わらせる”つもりで黙るが、結果として“止まる”。理由は単純である。時間が経つほど、根拠になる情報が失われるからである。アラーム履歴、作業者の記憶、工程データ、周辺状況――早ければ拾えた情報が、後では拾えない。
 現場が守るべき鉄則はこれである。
「迷ったら先にQAに投げる」である。相談は敗北ではない。相談はリスク低減である。


2. 「結論」より先に「事実」をそろえる(言い切らない)
 現場がやりがちな悪手は、最初から結論を言い切ることである。
  ◆「影響はない」
  ◆「いつも問題ない」
  ◆「同等品だから大丈夫」

 この言い切りは、QAとの対話を難しくする。QAが必要としているのは結論ではなく、『結論に至る道筋(事実と根拠)』だからである。現場の第一報は、次の順序で揃えるべきである。
  ① 何が起きたか(いつ、どこで、何が)
  ② どこまで進めたか(時系列)
  ③ 何が分かっていて、何が分かっていないか
  ④ 取れそうなデータは何か(ログ、記録、試験、写真、聞き取り)
 これだけで議論は「感情」から「判断」に移る。QAも止める以外の選択肢を設計しやすくなる。

 

 

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