医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第3章-2】
【第3章】プロジェクト基本計画(2)
監修:中尾 明夫、河須崎 勝美、田中 信夫
執筆:町田 進
3.2 基本計画の内容
「プロジェクトの目的」が示され、基本計画を行う場合の検討過程について説明する。
与条件の整理
「プロジェクトの目的」と制約条件、検討課題を確認する。具体的には以下のとおりである。
・製造品目の特性(剤型、ハザードの有無、物理的な特性、無菌性の保証の有無等)
・製造フローや製造スケジュール、製造能力の検討書(設備の改修を行う場合は、どの製造工程をどのように変更を行うかについて既設の製造フローや機器図面に示す)
・敷地配置図(新規に建屋を建設する場合に必要であることは当然であるが、改修の場合も、機器の搬入等の工事計画立案のために必要である)
この与条件について次の観点から、基本計画の方針を概観しておくことが望ましい。
・与条件を基に検討した場合、現実的に(コスト、スケジュール等)可能か。
・対応として考えられる候補は1つか、複数か。
・制約条件を満足することができるか。
上記のうち「対応候補が1つか」については、既設の工場敷地内の空地に新棟を建設する場合は、与条件の建設予定地が適切か比較検討の余地はないか確認すること、設備の改造を行う場合も、改造する方法は他にないか確認のうえ、なぜ、その方法が選択されたか確認すること。条件設定時には、合理的と思われた方法であっても、最適な方法が見落とされているリスクを防ぐために、多面的に再検討する必要がある。
与条件の整理では、客観的に検討課題や検討結果を評価確認できる要員(例、SME:Subject Matter Expert)をレビュアーとしてプロジェクト組織に含めて計画を開始することが有効と考えられる。
さらに与条件として挙げられたものについては、MUSTな条件か、BETTERな条件か、やむをえず選択せざる得ない消極的な条件かをクリアにしておくことも必要と思われる。
与条件として挙げられる項目を以下にリストアップする。
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