一歩先を目指す化粧品GMPの運用(第5回)

第5章:PQSとISO9001の統合運用

前回(第4回)では、ICH Qトリオの考え方についてお話ししました。3つのガイドラインをうまく使うことでライフサイクル全体の品質保証が確実になることを知りました。
平成17年(2005年)の薬事法改正により、企業の市場に対する責任の明確化、市販後安全対策の充実・強化、国際整合性の確保等を目的に、製造販売業許可と製造業許可が分離されました。製造販売業者には総括製造販売責任者の設置が義務付けられ、品質管理の基準(GQP)と製造販売後安全管理の基準(GVP)が導入されました。製販分離制度の導入により、新たに「製造販売業者」の業態が誕生しました。規制変更により、製造業者はGMPの順守を、製販業者はGQP(とGVP)の順守が求められます。しかし、品質保証は業態ごとの部分最適化では達成できません。
2021年 4 月に改正されたGMP省令では,医薬品品質システム(PQS)に関する規定が新たに加えられました1)。PQSはISO9001を基本とする考え方であり、製品そのものの品質だけでは品質を保証したことにはならず、その製造がPQSに基づいて実施されたということが品質保証だという考え方です。このISO9001の考え方を医薬品の開発から製品の終結まで、すなわちライフサイクル全体に展開したものが医薬品品質システムのガイドライン(ICH Q10)です。グローバルのGMPであるPIC/S-GMPはQ10の考え方を取り込んでおり、GMP省令の改正の骨子はこのPIC/S-GMPとQ10の考え方にあるといえます。従って、GMP省令におけるPQS規定は医薬品の品質保証の核心なのです。
化粧品GMPは「化粧品製造業者」の製造管理と品質管理が目的で、品質保証の考え方はありません。品質を確実なものとするには、製造現場だけではなく、企画部門から流通販売部門に至る組織全体のマネジメントが重要です。関係組織全体でPQSに取り組んでPDCAを回すことが大事です。
一歩先を目指すためには、PQSとISO9001のシステムを参考に、自社の取り組み領域を広げて活動する必要があるのです。

1. 化粧品GMPとGQPの関係(守備範囲)
品質保証に入る前に、製販分離制度について考えましょう。
製販分離制度により、化粧品製造業者の役割は「化粧品GMPの順守」であり、製造販売業者の(品質面の)役割は「GQP省令の順守」となりました。
規制変更の趣旨は、化粧品製造時にはGMPの手順をしっかり守って、製造品質を確保する。
製造販売時にはGQP(、GVP)の手順をしっかり守って市場品質を確保することにある。
それでも市場でトラブルが発生したら、手順に従って速やかにリカバーすることが求められます。

 

 

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