私たちの身の回りの微生物【第3回】
私たちの身の回りの微生物 ~見えないところで育つ家電製品のカビ~
1.私たちの身の回りの家電製品とカビ
現代において私たちが快適な生活を送るためには、家電製品の存在が欠かせないことは言うまでもない。家電製品の種類は、調理関係の製品(例:電子レンジ、冷蔵庫)、理美容関係の製品(例:ドライヤー、髭剃り)、空調関係の製品(例:エアコン、加湿器)など多岐にわたる。これらの中でも洗濯機、加湿器、食器洗い乾燥機などは、水(主に水道水)の使用を伴う家電製品である。また、エアコン、冷蔵庫、除湿器、炊飯器などは、使用することで水(主に結露水)の発生を伴う家電製品である。両者に共通する悩みのひとつは、カビが発生することである。
家電製品にカビが発生することは誰しもが経験することであるが、好ましく思う人はほぼいないであろう。カビが発生することによる主なデメリットは、1)外観を損ない、不衛生感を与える 2)カビ臭が発生する 3)アレルギーや疾患などが懸念される などである。まず1)については、特に目立つ濃い色調(黒色やこげ茶色)のカビが発生することに起因している。2)については、カビがゲオスミンや2-メチルイソボルネオールなどの不快な臭気を発することが原因である。3)については、居住者がカビの胞子を吸入したり、皮膚などに付着することで引き起こされる。
2.外側から見えない、家電製品内部で育つカビ
各家電製品に対し、「カビの発生しやすさ」と「カビ掃除のしやすさ」を指標とした、カビ汚染のリスク評価を行った(図1)。特にカビが発生しやすいのは、エアコン、洗濯機、加湿器、除湿器、冷蔵庫であるが、日々のカビ掃除がしやすいのであれば総合リスク評価の結果はさほど高くならない。しかしながらエアコンと洗濯機に関しては、カビが生えやすいことに加えてカビ掃除がしにくいため、総合リスク評価も高い結果となる。
3.エアコン内部にカビが発生する仕組み
カビの発生に必要な要因は、温度・栄養・水分(以降、3要因と呼ぶ)である。3要因が揃う環境においてカビが発生する。特に夏季にエアコン冷房運転を行うと、室内から取り込まれた高温多湿の空気は、低温になった熱交換器を通過し、空気中に含まれていた水分が熱交換器表面で結露することで多量の結露水が発生する。発生した結露水の多くはドレンパンに集められ、ドレンホースを通して室外へ排出されるものの、一部は熱交換器や送風ファンなどに付着して残存する。また、エアコンは通常は室内に設置されているため、稼働後は内部も室温付近の環境となる。一方、室内にはカビの胞子をはじめ、食品のカス、人の皮膚片や垢などが付着したハウスダストなどが存在している。
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