再生医療等製品の品質保証についての雑感【第89回】

第89回:細胞製造の品質マネジメントシステム (19) 
~  モニタリングシステムの分類と役割 ~


はじめに
 第86回にて、システムの維持では、当面の安定性を確保した後のモニタリングによって、OOC(Out of Control)を設定して逸脱管理を実施し、継続的な解析による工程理解の促進と、是正・予防(CAPA)を含む改善活動が必須とお話ししました。安定したシステムでは、蓄積されたデータは正規分布に従って、管理限界内に収束すると予想しますが、細胞製造の場合、例えば万分の1(万が一)以上の、比較的高い確率で「外れ値」が生じる事例が散見されます。外れ値は、時には制御における想定範囲内(OOC)ではなく、不適合(OOS)として発生することもあり、検出できることは当然ですが、解析し、OOCを超える発生を抑制できることが、品質マネジメントにおける目標となります。


● その外れ値は本当に原因究明ができているか
 細胞製造を行っていると、しばしば想定外の結果(接着状態や形態、増殖速度、獲得細胞数など)が生じることがあります。このとき通常ならば、原因究明(故障解析)を行い、適切な是正など、再発予防の措置を取る必要がありますが、細胞固有の外れ値である(原因の特定ができない)として、十分な検証や、継続的な解析を実施していない事例を散見します。
 細胞挙動のばらつき(乱れ)は分散型であり、解析が難しい場合もありますが、それはプロセスの再現性において影響を及ぼす程に頻度が高く生じるものではないと考えます。例えば、n=3でばらつきのみを評価することが困難であっても、ボックスプロットで一定数以上の事例をまとめれば、ばらつきの一部に外れ値が生じる程度と認識します。したがって、外れ値と判断している大半は、原因究明が可能な、手順構築の未熟から生じるものであり、プロセスアプローチ(第62回など)の考え方で適切にシステムの設計が行われていれば、製品が自己細胞由来か同種細胞由来かに関わらず、多くの解析と是正/予防措置が開発時より継続的に実施されると想定します。
 製造プロセスの安定性に対し適切な解析が実施されていないのは、第65から68回までで紹介した製造工程開発の図における、PAT(工程解析技術)に資する設計(リスク評価)と道具が不足していると想定してます。設計については、以前にもお話ししたと思いますが、全製造プロセスの作業分解構造(WBS)を実施し、リスク評価を行い、品質に影響を及ぼす工程パラメータを選択(順位付け)し、特に、解凍状態や播種密度など。インプット(37℃へ加温直前)の条件を整えることが挙げられます。これらの設計が、製造工程開発プログラム策定時において、適切に実施できていなければ、逸脱等の発生時において適切な解析が行われず、原因不明(外れ値)として何もしないまま通り過ぎてしまう可能性が高くなると考察します。

 

 

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