バイオ医薬品分野における品質保証責任者の独り言【第7回】

第7回:マネジメント層とQAとの関係性 ― 会議室で起きていること


はじめに:「QAがうるさい」と言った瞬間に、品質文化は死に始める
 
品質問題が起きたとき、一部のマネジメント層はしばしばこう言う。「なぜQAはもっと早く止めなかったのか」である。その一方で、納期が遅れたり、顧客対応が炎上したりすると、こうも言う。「QAが厳しすぎる。ビジネスが止まる」である。
 この二つの言葉が同じ口から出る組織で、QAが健全に機能することはない。QAは板挟みになり、最終的に「何をしても怒られる役」へ追い込まれるからである。これはQAの力量の問題ではない。マネジメントとQAの関係設計が破綻しているのである。
 ここで、会議あるあるを一つ。
品質会議で逸脱の説明が始まると、マネジメントが急に“名探偵”になる瞬間がある。
「つまり、誰が悪いんだ?」と聞くのである。
 QAが欲しいのは「原因の構造」と「再発防止の仕組み」だが、会議室の空気はいつの間にか「犯人捜し」に変わる。現場は黙り、QAは言葉を選び始め、肝心の議論が止まる。
そして数週間後、別の逸脱が起きる。名探偵はまた現れる。
 このループが始まった組織は、静かに弱くなる。

1. QAはブレーキ係ではないが、アクセル係でもない
 マネジメントが抱きがちな誤解は、「QA=ブレーキ」である。確かにQAは止める判断をする。しかしそれは、止めることが目的ではない。制御のない速度が最も危険であることを知っているだけである。
 一方で、「QAはビジネスを分かっていない」と切り捨てるマネジメントもいる。だが、QAに求められているのはアクセルでもブレーキでもない。QAの役割は、ハンドルである。どの方向に、どの速度で進めれば事故らず目的地へ着けるかを示す役割だ。ここが理解されないと、QAには矛盾した注文が飛ぶ。

 

 

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