薬事屋のひとりごと【第14回】
「国外航行中のクルーズ船におけるハンタウイルス感染症事例について」
筆者が気になる通知をひろいあげて、ひとりごとをお伝えするシリーズです。ひとりごとは読み流していただき、読者の皆さんが通知をお読みの上、しっかり内容を把握いただくと助かります。
今回の話題は、ハンタウイルスです。連日、ニュースで報道されている内容なので、うんざりされているかもしれませんが、薬事屋の視線でまとめました。
ハンタウイルスは本来げっ歯類が保有するウイルスであり、ヒトでは主にげっ歯類の唾液や排泄物との接触や排泄物を含む粉塵の吸入、排泄物で汚染された環境への曝露で感染する。基本的にヒトからヒトへ感染するものではないが、例外的に、アルゼンチンとチリで、ハンタウイルスの一種であるアンデスウイルスのヒト-ヒト感染事例が報告されている。知ってるし!と呟いておられる方に、歴史的な観点も踏まえて記載します。
なぜ「ハンタウイルス」と呼ばれるのかその由来はご存じでしょうか。朝鮮戦争の最中、前線で戦っていた国連軍の兵士3,000人以上が、激しい高熱と腎不全、そして全身からの出血に見舞われました。当時は原因が全く分からず、「韓国出血熱」と呼ばれて恐れられました。戦後、韓国のイ・ホワン(李鎬汪)博士がこの原因究明に生涯を捧げます。彼は何千匹ものネズミを調べ、ついに1976年、ソウル近郊の漢灘江(ハンタンガン)沿いで捕まえたアカネズミからウイルスを分離することに成功しました。この川の名前にちなんで、ウイルスは「ハンタウイルス(Hantavirus)」と名付けられたのです。
ハンタウイルスは「ネズミから人」への一方通行だと思われていましたが、「人から人」への感染が報告されたのは、2018年パタゴニア地方の小さな町エプイェンでした。
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