私が経験したGMPの半世紀 品質を保証する科学:GMPの歴史と本質【第3回】

【第3回】
GMPからPQSへの変遷
1963年にGMPが始まった当初は、QC部門が実施する「試験」が主役でしたが、GMPの進展を受け試験以外の文書管理、変更管理、逸脱管理などの複雑な業務が激増しました。そこで、1978年、FDAはCGMPを改訂し、QC部門の権限を大幅に強化し、「製造部門からの独立」や「出荷判定の最終権限」が明確化され、実質的に現在の品質保証(QA)の役割もQC部門に義務付けられるようになりました。

また、1987年に、「ISO 9000シリーズ」が制定され、「品質保証(QA)」という言葉が明確に定義され、世界中に広まりました。ここで、試験を担当する「QC」とシステム全体の保証を担当する「QA」が、明確に区別されるようになりました。2008年には、ICH Q10により、経営陣の責任を含めた「医薬品品質システム」の概念が導入されました。QAは単なる現場の監視役ではなく、経営レベルで品質保証を担う部署として位置づけられました。

ところで、2000年に発表されたICH Q7「原薬GMPガイドライン」で、「品質ユニット(QU)」という言葉が初めて使われ、QUは、QCとQAの両方の責任を含む組織であると定義されました。さらに、2006年のFDAガイダンス「Quality Systems Approach」の中で、法律用語である「品質管理ユニット」という古い言葉を、現代的な解釈である「品質ユニット」という言葉に置き換えて説明し始め、これにより、業界全体で「QU」という呼び方が標準化しました。
GMPの歴史的な経緯から、企業によっては「QCユニット」の中にQA機能があったり、逆に「QAユニット」が試験もやっていたり、小規模な工場では1つの部署が全部やっていたりと、名前はバラバラです。ここで、品質に関する責任を持つ組織全体を指す「QU」という言葉を使い、「QCとQAは切り離せない一連の機能である」ということを強調することにしたわけです。ただし、米国のCGMP(21CFR Part 211)では、依然として、「Quality Control Unit」という用語が使われていますので、混乱しないように注意してください。

プロセスバリデーションの概念が再定義されたころ、ICH Q10により医薬品品質システム(PQS)の概念が導入されました。「決められた手順通りに作り、最後試験に合格すれば出荷する」だけでは防げない不祥事や供給不足が発生したため、より包括的な「システム」としての管理が求められるようになったからです。
このPQSの導入により、① 開発段階から製造、そして製品の製造販売終了まで、全ステージを一貫した品質方針で管理することが求められるようになり、② 現場の責任されがちだった品質問題は、「上級経営陣」が最終責任を負うことが明記され、③ 「ルールを守る」という受動的な姿勢から、「データを分析して自ら改善し続ける」能動的な姿勢へ転換されました。

 

 

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