医薬品開発における品質の位置付けと本質・Part 3

Part 3のはじめに
本アーティクルは、2026年4月22日に東京ビッグサイトで開催されたCPHI Japan 2026 でのセミナー「医薬品開発における品質の位置付けと本質 focused on 治験薬のGMP」の内容を紹介するものです。

Part 2では、治験薬について品質の観点から日欧米3極での共通点と相違点を中心にお伝えしました。本Part 3では、PIC/S GMDPも踏まえて、GMPの捉え方、適切な運用の仕方について再認識しましょう。

なお、アーティクルとしてはセミナースライドの順番に従い各スライドを簡単に説明していきますので、Part 1にリンクさせたセミナー資料のpdfファイルをダウンロードしていただき、別タブとして開いて本Part 3をお読みください。


[スライド43, 44]
PIC/S、実はEU加盟国内でのMRA(Mutual Recognition Agreement:相互承認協定)としてのPICとその他の保健機関の加盟するPIC Schemeの総称です。保健関係当局機関(査察機関)の任意加盟であり、日本としては厚生労働省(本省と各都道府県薬務課)とPMDAの計49の査察機関として加盟しています(日本政府ではない)。主たる目的は、各国保健査察機関間の情報交換です。日本行政機関としては、2014年7月1日付で正式加盟しています。

[スライド45]
加盟に際しては審査があるのですが、厚生労働省は加盟申請直前の2012年2月1日付で「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方」を発出し、その中で5点のポイントを示しています。

うち、項目2として治験薬について触れており、「治験薬については、従前の通り治験薬GMP通知が要件であり、PIC/S GMPは参考であること」としています。言い換えれば、本邦においては治験薬GMP基準が法的要件であり、PIC/S GMP(特にAnnex 13)は上乗せ基準として捉えるべきと解釈されます。

と言いつつ、市販の医薬品におけるGMP省令との関係はどうかと言えば、項目3ないし5から察するに、医薬品GMPについても上乗せ基準として運用すべきと解釈できます。が、それなりの拘束力を有していると匂わせています。

個人的見解としてお許しいただければ、行政の言う「参考にすること」は、俗に言う「拘束力は無く、あくまでrefer」ということではなく、「こうしなさい」という意味と解釈しています。

[スライド46]
現在のPIC/S加盟の世界地図です。既に多くの国から現在56の行政機関が正式加盟しています。
《注》国の数と行政機関の数は合っていません。理由は、ヒト用医薬品と動物用医薬品の行政機関が別の国があり、両機関ともに加盟している国があるためです。ちなみに、日本における動物用医薬品の管轄は農林水産省ですが、農林水産省は加盟しておりません。
 

[スライド47]
PIC/S GMP Guideの製剤用Part Iの各Chaptersと原薬用Part IIを示しました。Part IIがICH Q7の合意に基づくもので、Q7と同じであることは、[スライド38]で述べました。

Part Iは、元々はEU-GMPですが、PIC/S GMPとの相違点を挙げれば、QP(Qualified Person)に相当する責任者を「Authorised Person」と称している点と薬局方について「EPまたは当局各国の薬局方」とEP限定にしていない点です。

[スライド48]
PIC/S GMP Guideの各Annexesを示しました。ヒト用医薬品のみならず、動物用医薬品を対象としているものもあります。が、日本では動物用医薬品管轄の農林水産省は加盟していないため、除外Annexesとなっています。

また、コンピュータ関係のものは改訂中であるとともに、新規にAnnex 22(Artificial Intelligence:人工知能)も制定中です。

本日の話の中心となるAnnex 13(Manufacture of investigational medicinal products:治験薬の製造)も入っています。
《注》IMPと略されることの多い“Investigational Medicinal Products”は投与製剤としての治験薬を意味します。“Investigational Products”と“Medicinal”を抜いた表現の場合は、治験原薬も含む治験(原)薬の意味です。英語原文をお読みいただく際はご注意ください。

 

 

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