【第8回】CSVからCSAへ データインテグリティも踏まえたFDAの新ガイダンス動向
(本記事は、2023年1月の時点で、既に本サイトに掲載済みの第7回と共に執筆・提出されたが、取り扱いについての筆者と編集部担当者とのちょっとした誤解により、これまで掲載されていなかったものである。内容については、今なお価値があると思われるため、改めて掲載する運びとなった。)
英国人コンサルタントR.D. McDowall氏による論評
R.D.McDowall氏は、ビジネス系SNSであるLinkedInに記された経歴 (https://www.linkedin.com/in/bob-mcdowall-418273/)によれば、医薬品ラボラトリー分析分野のコンピュータ化システムのバリデーションについてだけでも30年近くのキャリアを持つ英国人コンサルタントである。同氏はSpectroscopy誌のオンラインコラム欄に2022年12月1日付で”Much Ado About Nothing”(シェイクスピアの喜劇「空騒ぎ」の題名をそのまま借用)と題した本ドラフトガイダンスに関するなかなか辛口の論評を発表した。(https://www.spectroscopyonline.com/view/csa-much-ado-about-nothing-)
筆者にはこの論評が厳しくはあるが尤もな指摘を数多く含むと感じられたため紹介する。
同氏は、最初のリード部分でこう投げかけている。「CSVはGxP規制を受ける試験室にあっては、査察官と監査者を静かにさせるために、時間がかかりまた紙の山を発生させていると主張されている。これを救うためのものは、FDAのコンピュータソフトウェア保証(CSA)のドラフトガイダンスである。しかし… これは本当に事実か?」。また、自身の立場を「私はCSAの称賛者ではなかった。なぜなら、それはプレゼンテーションとパブリケーションによる規制であったから」と表明している。この「プレゼンテーションとパブリケーションによる規制」という表現に、筆者も思わず同感であった。
同氏は自身のバリデーションに対する考え方と、本ドラフトガイダンスの公開前にCSAが提案していた目的を整理した上で、それら目的が実際に公開された本ドラフトガイダンスでどのようになったかを分析している。その最初の章の見出しが”Meet the New Boss …”(「新しい上司に会え」:イギリスのハードロックバンド”The Who”の1971年の曲”Won’t Get Fooled Again”(「2度と騙されないぞ」)の歌詞にちなんだもの)であり、その章では、本ドラフトガイダンスがCDRHのSVガイダンス(同氏の投稿中では”GPSV”と略記)全体を置き換えるものではなくセクション6だけを置き換えるだけに留まっていることの問題点を5つ列挙している。中でも筆者が重要と思われたのは、既に本連載の第4回~第7回で述べたことと一部重複するが、以下の各点である。
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