知的財産の基本から知財ミックスまで【第6回】

(1)はじめに

 特許に関する公報には、「公開特許公報」と「特許公報」の2種類があることをご存じでしょうか?

 たまに、お客様から「競合他社の特許があるようなのですが、自社製品の販売を続けても問題ないでしょうか」という問い合わせを受けることがあります。そして、調べてみると、お客様は、競合他社が特許出願した特許の「公開特許公報」をみて、特許になったと勘違いしていることが分かりました。さらに、よくよく調べてみると、この特許出願は出願審査請求もせずに、みなし取り下げされて最終的に特許になっていないものでした。

 実は、この手の勘違いは、知財にあまり詳しくない人にはよくあります。1つの特許出願に関し、似たような公報が2つ存在する場合があること(1つの公報しかない場合もあります)を知っておくことは重要です。

 そこで、各公報について発行時期と、法的意味合いの違いについて簡単に説明します。

(2)    公開特許公報と、特許公報との違い
 次の2つの公報をご覧ください。

(ちなみに、この特許出願の出願人は、特許庁自身です。)

 書式も似ており、パッと見ると混同してしまうかもしれません。そこで、まず見るべきところは、赤い楕円で囲んだ表題の部分です(赤い楕円は筆者加筆)。
 ちょっと見づらいかもしれませんが、左側の公報には「公開特許公報」と記載され、右側の公報には「特許公報」と記載されています。この表題の部分を見れば、「公開特許公報」「特許公報」のどちらかを判別することができます。

 「公開特許公報」は、特許出願してから1年6ヵ月後に、自動的に公開される公報です(J-PlatPatでも検索可能となります)。この公開特許公報は、特許出願の内容を公開するための公報で、特許となったことを示すものではありませんので注意してください。

 併せて、公開特許公報の特許出願が、既に特許になっているのか、拒絶査定が確定しているのか、それとも審査中又はまだ審査されていないのか確認した方が良いでしょう。ちなみに、これらの情報は、J-PlatPatの対象特許出願に関する「経過情報」で確認することができます。

 一方、「特許公報」は、特許権が設定登録されてから2週間後ぐらいに、公開される公報です。この特許公報は、公開特許公報とは異なり、特許となったこと及びその内容を示すものになります。
 ただし、特許公報が発行されているものであっても、存続期間が満了しているものや、異議決定や無効審判で消滅している可能性がありますので注意してください。ちなみに、これらの情報も、J-PlatPatの対象特許に関する「経過情報」で確認することができます。

 このように、特許に関する公報であっても、「公開特許公報」と「特許公報」とでは、大きな違いがあります。
 J-PlatPat等で、競合他社の気になる特許を発見した場合には、まず公開特許公報なのか、後述する特許公報なのかを確認することが重要です。そして、その公報の特許出願または特許が、現在どのような状況にあるのかを、J-PlatPatの「経過情報」で確認することをお勧めします。

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