省令改正案検討の経験からみるGMP省令改正のポイント【第8回】

原料等の供給者の管理(第11条の4)
 本条は2013年8月30日の薬食監麻発0830第1号の通知で追加された項目で、これが省令になりました。この業務はQAが行うこととなっています。原料等には承認書に記載のある有効成分もその対象にあることがパブコメ結果からわかります。ただし、製造販売業者が取決め、確認を行っている場合はそれを共有することで重複して行う必要はない(事例集 GMP 11-86)ことは従前どおりです。第1項第2号の選定は、2013年8月30日の施行通知では品質部門によって承認された供給者となっていました。省令においてはQAが適格性を評価し選定したことを証明する文書が必要なことには変わりはありません。
 供給者管理の対象となる原料の判断は品質リスクを特定して判断することと課長通知になっており、その考え方は第11条第1項第6号に記載する考え方と同様であるとしています。このことから、品質リスクの特定については、事例集(現時点では2013年版)のGMP 11-55(参考品として保管すべき範囲)が参考となります。また、「原料等」は省令から原料及び資材と定義されていることからGMP 11-59も参考にすることが重要です。それら原料等供給者の変更に際しては、必要に応じて変更時のバリデーションが求められる(課長通知)ので留意する必要があります。原薬出発物質の供給元が変更される場合、バリデーションが求められる(Q7 Q&A、Q12.3)ので当該のQ&Aを参照ください。

外部委託業者の管理(第11条の5)
 
第1項で製造業者等は試験検査その他の製造・品質関連業務の一部を外部委託業者に委託する場合に必要な取決めを締結することとしているところ、GQP省令第7条に準じて取決めが締結されているものに対して重複して締結することを要しないとしています。例えば、製造販売承認書に記載される外部委託試験機関は必然除かれることになります。取決めで最低限求められる事項は、課長通知の19(1) ①に記載されています。また、試験検査以外の製造・品質関連業務には、構造設備の清掃・保守、検体・試験検査用の標準品の保管、設備・器具の点検整備、計器の校正、防虫管理が含まれることが課長通知(p45~p46)の他パブコメ意見に対する監麻課の回答から明確にされました。これら外部委託業者との取決め締結の他、委託に係る製造・品質関連業務を適切かつ円滑に行っているか定期的に確認することについて省令及び課長通知から必ず実施することとなり、現時点では例外はないことから確実な実施が求められます(今後発出される事例集にどのように運用方法が解説されるかは要確認)。ただし、パブコメ意見に対する回答では、当該業務の内容等により様々であり、一概に確認の方法を示すことは困難としていることから、委託業務の種類によってそれが適切に確認できるのであれば方法には自由度があると見るべきでしょう。第2項第1号には取決め締結に際して外部委託業者の適正及び能力について確認することとなっていることから、それらを確認した記録が求められます。なお、「あらかじめ指定した者」は、課長通知には「当該委託に係る製造・品質関連業務を熟知している職員をあらかじめ指定し」となっていることから、この場合は部門を問わず、当該業務を熟知している立場かがポイントとなります。

製造所からの出荷の管理(第11条の5)
 改正での大きな点としては、この業務がQAによって行われることが明確にされたことです。ここで求められる製造所からの出荷の管理に係る業務を行う者は、課長通知ではPIC/SガイドラインのAuthorised Person(s)の役割を担うとされています。一方、EudraLex Vol.4(EU-GMP)では、この部分はQualified Person(QP)という表現になっています。EU-GMPはECの法によってQPが定義され、それに連動していますが、PIC/S GMPは規制ではないためQPがAuthorised Personに置き換わっています。
 ここで、基本的事項を確認すると、製造所からの出荷に際しては第10条第10号の報告、第11条第1項第8号の判定結果、同条第3項の確認等を踏まえて評価・決定することとなっています。すなわち、製造部門は製造、保管、出納、衛生管理が適切に行われていることをQAに文書をもって報告(第10条)すること、QCは試験検査の判断結果(OOS対応含む)をQAに報告(第11条第1項)することとなっているので、今一度、これに忠実に結果がQAに提出されているかを確認すべきでしょう。

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